経済統計のカイゼン | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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2014年の消費増税は民間消費に大きな影響を与えたが、それは総務省が実施する家計調査の消費支出などの統計でも明らかだ。ただ、この家計調査が家計の消費支出や勤労世帯の実収入などを正確に示しているかというと問題点はいろいろある。

 

この調査は「一定の統計上の抽出方法に基づき選定された全国約9千世帯の方々を対象とし、家計の収入・支出,貯蓄・負債などを毎月調査」とあるとおり、選定された家庭が決められた方法で記録したものを集めて全体を推計する方式をとっている。

 

調査に協力する家庭がどこまで正確に記録を取ってくれるかの問題もあるが、収入や毎日の消費を事細かく記録するのはかなりの負担だ。だから、協力できる家庭が平日に家にいる高齢者世帯や自営業などに偏りがちなことも問題視されている。

 

団塊世代が定年を迎え、会社に残ったものは半分の給料となり、そして65歳を迎えてその人数も減り始めている。そういう世帯構造の変化も含め、この方式で全体がどこまで反映されているのかということだ。

 

また、法人や企業の活動に関する統計の代表例として財務省が実施している法人企業統計があるが、これも一定の基準で選定された法人や企業を対象とした標本調査だ。こちらの方にも家計調査と同じような偏りや記載内容の正確さの問題がありそうだ。

 

例えば、近年リフォーム市場がどんどん伸びて来ているのにちゃんとした統計がないし、テレビやネットの通販も同様に実態が正しく反映されていない。人口構成、社会構造、産業構造などがどんどん変わってきているのに、統計が付いていけていないのだ。

 

そして、政府が四半期ごとに発表し、国全体の景気の実態を把握する最重要な指標となっているGDP(国内総生産)はこれらの様々な指標を元に推計されたものだ。つまり、GDPはそれぞれの統計が抱える問題や矛盾を集積したものとなっているのである。

 

以上のようなことについては、麻生副総理が昨年秋の経済財政諮問会議で問題提起をしていたが、政府としていよいよ本格的に見直すことになったようだ。


GDP統計向上、日銀と連携強化を 諮問会議で民間議員提言へ
産経 2016.10.20 07:40

 政府が21日開く経済財政諮問会議で、民間議員が国内総生産(GDP)統計の精度向上に向け、日銀との連携強化を進めるよう提言することが19日、分かった。政府統計に関しては景気実態を正確に反映していないとの批判があり、ビッグデータの活用など、統計手法の改善を求める声が相次いでいる。諮問会議は民間議員の提言などを踏まえて議論を進め、12月にも基本方針をまとめる方向だ。

 

 21日の会合は、8月の就任後、統計の整理・統合に向け検討を進めている山本幸三行政改革担当相が初めて出席し、意見を述べる。

 

 GDPについては、日銀が7月、税務情報などに基づく独自試算を発表。内閣府による公表値との乖離が話題になった。民間議員は算定手法の検討に関し、政府と日銀の連携の必要性を強調。統計の基本計画策定などを担う政府の統計委員会について、人員増強などを通じた司令塔としての機能強化を求める。
http://www.sankei.com/economy/news/161020/ecn1610200006-n1.html


資料にある日銀が発表した独自試算とは次のようなものだ。資料がかなり膨大だし、これを分かりやすく解説する力はないので、どれだけ乖離(かいり)があるのかだけ分かるグラフを掲載しておきたい。

 

これまで内閣府が発表してきた「現行値」と日銀による「試算値」を比較したものだ。
尚、試算方法や大きな差額がでる要因など、詳細に興味のある方はリンクから詳細を確認いただきたい。


税務データを用いた分配側GDPの試算 2016 年 7 月 日本銀行
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2016/data/wp16j09.pdf

 

消費税が5%になり我が国がデフレに突入するころまで乖離はほとんどないが、その後差が広がっている。そして、リーマンショックの影響が大きかった2009年度にはギャップがほとんどなくなっている。

 

そして、その後再び広がり2014年度には約27兆円ものギャップとなっているのである。
なぜそうなったのかはまたじっくり考えてみたい。

 

(税務データを用いた)分配側からみたGDPと、(企業・家計などへのアンケート方式)で支出側からみた現在のGDPにかなり大きなギャップが生じていることが分かる。

 

資料を読むと、企業の利益である「営業余剰」に特に大きなギャップがあるなど興味深いが、そのあたりはいずれ機会があればまた取り上げたい。それに、この日銀方式がどこまで取り入れられるのか全く違うやり方になるのかまだ何も分からない。

 

とはいえ、これまでの統計が実態より少なめというのは間違いなさそうで、GDPを粉飾と言っていいほど盛る中国とはまったく逆なところがいかにも我が国らしい。しかし、経済の実態を正確につかめなければ、適切な政策も実行できないかもしれないのである。

 

これを機に普及が遅れているマイナンバー制度の活用やIoTを使った調査や統計の導入を進めるなど、ぜひ、いい方法を見つけ出してもらいたい。

 

(以上)

 

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