ハロウィン肖像画Ⅳ➖35 アスリートさとみ | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。



弱視のスーパーアスリートさとみ(立野里美)は1996年、走り始めて四年目の第一回目の霞ヶ浦のマラソンで入賞する。

2000年に野辺山(八ヶ岳)100キロマラソンに伴走者つきで初挑戦したときは、80キロ地点でリタイヤした。
2001年、ついに100キロを完走する。
2002年は、名古屋から金沢まで走る「桜道270キロマラソン」に挑戦する。
制限時間は48時間だ。
朝の6時にスタートし、初挑戦は50時間かけて完走するも2時間足りない。
2003年33歳で46 時間の記録を達成する。
去年は「高山100キロマラソン」に14年ぶりに挑戦して、60キロでリタイヤした。
今年は6月に高山71キロマラソンに出場し、10時間で完走した。


この絵は、オレもさとみも挑戦したホノルルマラソンが舞台だ。
さとみのピンクのTシャツには「BRAVE」(勇者)と書かれ、勇者マークバッファローが描かれている。
ホノルルマラソンを主催する「JAL」のゼッケンには「3103」(さとみ)とある。
後方にはさとみが登ってきた人生の坂道があり、花に彩られた住宅、人に恵みを与えるヤシの木、走りを象徴する車が並んでいる。
それぞれの車が自分の目標に向かって走っていく。
右手のトラックは2本の釣竿と魚を入れるバケツが積んである。
車をリアルに描くことによって、画家は鑑賞者とのラポール(信頼関係)を築く。
海岸には楽しみを象徴する黄色いレストランや水色のスーパーマーケットがある。
ピンクとパールの海岸には波が洗い、青い海の向こうにダイヤモンドヘッドが浮かび上がる。
ごちゃごちゃした人間世界を包むように美しい午後の空が広がっている。
さとみのピンクを引き立たせるため、基調がピンクになっている。

さとみのハロウィンメイクは、インディアンやインディオの「Warrior」(戦士)のマークだ。
ひたいに太陽、鼻のジグザグは見守る祖先たちを表す。
目の下のラインは連続する三角で他者や自然との調和を表している。
あごにある海亀は、陸では遅いが、海では鮮やかに泳ぐ。
弱視の障害をもっているが、アスリートとしては一流なさとみそのものだ。

2018年12月に里美が主催したAKIRA Xさとみオペラ

では、さとみが書いたライフストーリーを紹介しよう。


わたしは、冬の寒い雪の降る日に生まれました。先天性の視覚障害(弱視)でした。
父も、わたしと同じ視覚障害だった。
母と結婚して、わたしが生まれてわたしの障害がわかってからから、父の障害もわかったらしい。
わたしは、はっきり覚えてないが、まだ3歳になる前に眼科に通って目に注射をしてもらっていた。
少しでも、外見が良くなるように白く濁った目の濁りを注射で取っていたらしい。
わたしの病名は、前眼部形成不全症。数年前に指定難病になった病気だ。
障害される部分によって、視力障害の程度も様々らしい。
欠損や、未発達な部分によって、いくつか名前があるみたいだけど、カタカナの名前でよく覚えてない。

わたしの場合、目以外にも、歯の欠損があって、歯の本数が普通の人よりもかなり少ない。
確か親知らずを含めると普通の人は、32本。
でも、わたしは、25本しかない。今は、親知らずを抜いたから23本かな。
歯は、本数少ないけど歯並びは、そんなに悪くないから、見た目はたぶんそんなに悪くないかな。
視力は左目が0.03近づければある程度のものは見ることができる。
右目は、0.01で普段はあまり使ってない気がする。
困ることは、目のそばに近づけても、細か過ぎて見えないものが多いこと。
あとは、そばに近づいたり、自分の目の前に引き寄せてみられないものも多い。

わたしが子供の頃は、今みたいに便利なダブレットなどの道具もなかったから大変だったなあ。
わざわざ春休みに母が盲学校に教科書を拡大コピーしに行ってくれたりしてました。
あの頃のわたしには、そんな親の優しさは、全くわかってなかったけど。
みんなよりも大きな教科書を使うことや、教科書が読みやすいようにとわたしのために机に傾斜をつけてくれたりしたこと。
黒板の文字を見るために単眼鏡を用意してくれたことなど。
周りの人と違うことをすることに抵抗があってほとんど使わなかったなあ。
今思えば、ちゃんと使ってもっと勉強頑張れば良かったのにと思う。
中学の時が一番反抗期で、学校の先生にいろいろ愚痴を言っていた気がする。
それでも、親には、何も言えないでいた気がする。
小学校の時も、クラスメイトや、近所の下級生にいじめられても親には、何も話さなかった。
自分が我慢すれば何とかなると思っていたから。
過去を振り返ると、小1小2の盲学校の時も意地悪されてた記憶が蘇る。
ゴミ箱に上履き入れられたり、色鉛筆捨てられたり。
いじめやすかったのかなあ。

3歳の時親の都合で児童養護施設に預けられた。
3歳か4歳の時から施設から盲学校に通った。
幼稚部と小1まで施設で過ごし、小2で盲学校の寮に入った。
小3から地元地域の小学校、中学校に通った。
わたしが望んだことらしい。
正直全く覚えていない。

高校は、また、盲学校に戻って学んだ。
勉強は、好きではなく、成績もあまりよくなかったからだ。
高校卒業後は、盲学校の専攻科で鍼灸マッサージの勉強をした。
あの頃は、もっと別のことをしたいという思いもあったけど、何がしたいかわからず、まずは、資格を取ることにした。
仕方なくとった資格だったので、就職しても、仕事が好きとは言えなかった。
運動も嫌いで、体力のなかったわたしは、仕事で一日立っていることが苦痛でしかなかった。


仕事を始めて3年目くらいだったかな。
マラソンに誘われて走り始めた。
仕事で立っているのが辛くて体力付けたかったから丁度良かった。
そこから数年は、誘われるままにいろいろなレースに参加した。
10キロくらいのレースに出るのが練習でもあった。
そして、フルマラソンにも参加した。
確か2000年に始めの職場を辞めた時に時間ができて、結構マラソン練習に打ち込んだ。
その時に出会った方のおかげで、走る喜びをたくさん味わせてもらった。
まだ、若かったからいろいろ挑戦できた。
今、思い返しても、本当にあの頃の楽しかった思い出が蘇る。
もちろん今も、走り続けてますが、あの頃のように速くは走れない。
でも、今は、楽しく走りたいと思ってるかな。

はじめに勤めた、職場は、治療院で、主に病気の方を治すのが目的だった。
その職場で、いろいろな患者さんと関わったことが、わたしがこの仕事を続けるきっかけにもなった。
その次に務めたのは、病院の整形外科、体力的にも精神的にも苦しかった。
でも、この職場が一番給料は良かったんだよね。
そのあと少しだけ介護の仕事をしたけど、見えにくいわたしには難しかった。
その後、外資系の企業のヘルスキーパーをした。
親会社が派遣会社だったので、業績の悪化で、ヘルスキーパーの仕事はなくなり、事務の雑用を経て、会社から、訪問マッサージの仕事を紹介された。
はじめに紹介された訪問マッサージの会社は、ブラックだったので1ヶ月ですぐに辞めた。
次の訪問マッサージの仕事も、4年くらい続けたが、社長が結婚してから、社員に対する風当たりが悪くなり、ストレスで体を壊し退職した。


そして、今の仕事についている。
今は、大学病院で、ヘルスキーパーとして、大学で働く職員の方に福利厚生の一つとしてマッサージ施術をしている。
確か、AKIRAさんと出会ったのは、今のひとつ前の仕事を辞めたから出会えたのだ。
上司との人間関係に疲れて、心も身体もボロボロだった。
初めてのAKIRAライブで始めて出会った人たちがこんなに暖かいんだなあと不思議な感じがしたのを覚えてる。
わたしの生き方に影響を与えてくれた人はたくさんいる。
わたしに走る喜びを教えてくれた加藤さん、加藤さんとさんと出会わせてくれたすーさん。
「欲しいものは欲しい、助けて欲しい時は助けて」と言えるようにしてくれた真奈美さん、どんなわたしも丸ごと受け止めてくれるかめさん。
君は素晴らしいと言ってくれたAKIRAさん。
わたしの周りにいる数えきれない人たち。
わたしのご先祖さんにも感謝ですね。

自分の生まれてきた意味がわからなくて、わたしなんて消えてしまえばいいと思ったこともあるけれど、今は、こんな自分が大好きです。
人との距離感に苦しんだり、周りの目を気にし過ぎて身動き取れなくなっちゃったり。
今は、親が産んで育ててくれたことにも感謝できるし、兄妹喧嘩ばかりしてて、兄妹なんていらないと思ったこともあったけど、今は、妹の優しさにも触れられてるしこれ以上望むことはないのかな。
でも、叶うのなら、本当に普通に見えてる人の世界を見てみたいな。
普通の人が見てる世界ってどんな風に見えてるんだろう。

自分の人生で一つだけ誰にも話してないことがある。
それは子供を授かったけど中絶したこと。
たった一度の過ちでできてしまった新しい命。
今でも、時々、あの時別の選択をしていたらと思う。
でも、終わらせたからこそ、今の人生を歩めてる。
これで良かったんだと思う。
どちらを選んでも、どちらもわたしの人生。
間違ってはいないんだよね。


さとみは弱視というハンデを抱えながら挫折しても、挑戦しつづけ、乗り越えていく。
そのひたむきな生き方にオレたちは、勇気と希望をもらう。
これからも挑戦し続けるさとみを応援するような絵が完成した!


ハロウィン肖像画Ⅳ➖35、さとみ(F15号。652×530mm


1月3日さとみのライブペインティング動画

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=806530627903845&id=100000789583722


1月5日さとみのハロウィンメイク動画

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=691986112917764&id=100000789583722


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