ハロウィン肖像画Ⅳ➖34 伊藤裕美子 | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。



インドネシアのバリ島は聖なる神々の島である。

彼らが信仰するバリヒンドゥー教は、インドのヒンドゥーとまったくちがう、独自のものだ。

インドのヒンドゥーは多神教なのに、バリヒンドゥー教は「サンヒャン・ウィディ」という唯一神を信仰する一神教なのだ。

シバ、ヴィシュヌ、ブラフマー達はこのサンヒャンウィディの化身という。

天と地、山側(カジョ)と海側(クロッド)、聖と穢れ、に代表される。
実際は精霊信仰が強く残っている。
天上界と地下界。山側と海側にも、神々はいる。
山岳信仰では山の天霊が住み、海洋信仰には海に天霊がある。
海は、御神体(ススオナン)を浄化し、祖先霊を流す場所である。

天と地の間には、精霊に守られ共に暮らす空間が人間界である。

天と地の大宇宙(マクロコスモス)に対して、人の体は小宇宙(ミクロコスモス)で、人間の頭は聖なる天界に、足元は穢れの地界に通じる。

一神教なのに日本と同じ祖先霊信仰が強い。
各家々には祖先霊を祭るサンガ(ムラジャン)があり、バリヒンドゥー教最大の儀礼ガルンガンでは、祖先霊を迎えお祈りを捧げる。

バリ人の宗教観は善と悪の「二元論」と言われているが、厳密ではない。

バロンダンスは善の象徴聖獣バロンと、悪の象徴魔女ランダの闘いを描いた歌劇だ。

100年ほど前、バリ島には火山の噴火、政情の不安、疫病といった災害が降りかかった。
その災害を鎮めるためにバトゥブラン村で行われたチャロナラン劇がバロンダンスの元と言われる。

チャロナラン劇は4時間以上もあるが、観光客用にダイジェストしたのが、1時間ほどのバロンダンスである。




オレがは20052月にバリ島を旅した。

飛行機でとなりに座ったアメリカ人が入国税を貸してくれと言われ、彼の行きつけの宿に連れていかれた。

すると宿のオーナーユダは、かっこちゃん(山本加津子)のガイドだったのである!

オレはユダを師匠と仰ぎ、ディープなバリをたくさん体験させてもらった。

バイクで事故り、同じ時刻にオレの愛猫コマが日本で息を引き取った。




ゆみは33歳の時、バリ島で第二の人生が始まる。

バブル時代はインテリアデザイナーやバイヤーの仕事でなに不自由ない生活を送っていた。

買付先のバリ島でバイク事故にあい、5日間意識不明でチャーター機(500万円)に医師や看護師ととにシンガポールへ緊急搬送された。

札幌の中村病院へ入院するが、あごが砕けたため1ヶ月半なにもしゃべれず、あごの手術は8時間もかかったという。

「あかさたな」から言語治療に1年半通った。

自分の人生は終わったと思い、自暴自棄になり、必死で看護してくれる母親に八つ当たりをする毎日だ。

そんな時も母は真剣に愛情をもち、ゆみを「正して」くれた。


「母親は太陽です。

かずかずの困難に立ち向かう母親は太陽そのものです。

本当に母親の娘でよかったです。本当にありがとう。本当に感謝でいっぱいです。」

ゆみ。




じつに仲のよい、心があたたまる母娘の表情だ。

ゆみが母に体を傾け、母は楽しそうにのりだしている。

2人はバリの民族衣装を身につけている。

頭には花のカチューシャ、ネックレスは豪華な金と銀にパワーストーンが散りばめられている。

ゆみのハロウィンメイクは、ひたいにシバ神の第三の目:創造と破壊。生命力。

ほほには、カエルは死と再生、精神変容のシンボルだ。ヒキガエルは冬に幕を引き、春を呼ぶ。

カエルは25千万年前から存在していて、環境中の害虫を減らし、皮膚から分泌する物質も抗生物質と鎮痛剤の成分として使用される。 




お母さんのひたいには象の神様ガネーシャのマーク:献身、知性、豊穣。

ほほの蓮の花:知性、悟り。

2人のあごは棚田から取れる米で、バリでは結婚式で米をひたいに貼る習慣がある。食に困らないようにというお守りである。


画面下の左右には、AKIRAサインがチャナンと呼ばれるおそなえ皿で描かれている。

バリでは、パームリーフ(ヤシの葉)を使った可愛い細工物に花や食べ物を神様にお供えする風習がある。


「天国への階段」と呼ばれるライステラス(棚田)は、古代から受け継がれる祖先の知恵であり、ゆみとお母さんがひとつづつ試練を乗り越えながら天へ近づいていく人生を表している。

よく見ると稲が一本一本描かれている。

初めて描いた朝靄が左右の山を融合させ、ピンク色の空が補色(反対色)の緑と美しいハーモニーを生み出し、強力なX構図を支えている。




この絵をウェブにアップしたとたんこんなメールをもらった。

ALPの予告投稿見た!すごい素敵!大興奮!

【超いいね】1回じゃ足らん!連打したい!笑

進化が止まらないね~」

こういう感想が一番うれしい。

作者は「またやべえ傑作ができちまったよ!」と思っても、他の人がどう感じるかはわからない。

やっぱこれは傑作だった!




ハロウィン肖像画Ⅳ➖34、伊藤裕美子&お母さん(F15号。652×530mm


12月27日ゆみのライブペインティング動画



12月29日ゆみのハロウィンメイク動画

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=675717681382940&id=100000789583722


2024年7、8月タイで描いてくるハロウィン肖像画限定5名に、

甲斐美香さん(神奈川県)、宇野紀和子さん(岐阜県)、むつみさん(オランダ)が決定しました!

1日で3名が決まったので、空席はあと2名です。

くわしくはこちらのブログを参照してください。



★15th ネアリカフェスのメモリアル動画(1時間)が完成しました。

さとうみつろうさんとの対談とコラボ演奏、ネアリカ制作、受賞作品発表など盛りだくさんです。



★AKIRAのウィークリーVログ