ひさびさの飛行機だ。
今回は羽田からJALで出雲へいく。
出雲は神様の集まる場所であり、１０月を神無月というが、出雲だけは神在月（かみありづき）という。出雲名物であるぜんざいは、「神在」（じんざい）からきている。
出雲大社には大国主命（おおくにぬしのみこと＝大黒様）が祭られている。神話では葦原中国（あしはらのなかつくに＝日本）つくった大国主命は、天照大神（あまてらすおおみかみ）に「国譲り」する。
「国譲り」とはどういう意味だろう？
おそらく出雲には縄文系の国家があり、大陸から侵略してきた弥生系部族と戦った。弥生系部族は農耕民族であり、最新兵器を備え、軍隊という組織的にたけていた。八百万の神よりも現人神（あらひとがみ）という神格化した人間（天皇）を崇拝する。
「因幡の白兎」は有名だ。因幡の国（鳥取県東部）にいた美しい八上比売（やがみひめ）を求めて大国主命の兄弟である八十神（やそがみ）たちは求婚にむかう。
その途中、赤裸にされて泣いている白兎に会うが、「塩水につかって山で風にあたれ」といじめたが、大国主命だけは白兎を助けてやる。
縄文系国家は各部族の集合体であり、自治権を尊重していた。中央集権を目指す弥生系国家はそれらの部族をつぎつぎに滅ぼし、傘下におさめていった。白兎をトーテム（守護動物）とする部族が略奪され、放火されたのを、他の部族は見捨てたが、大国主命だけが救ってやったのかもしれない。
今日のライブのサブタイトルは「魂からのメッセージライブ」だが、大国主命の像が抱きかかえている玉は「幸魂、奇魂」と呼ばれる。
人間の魂は、破壊の象徴である「荒魂」（あらみたま）と調和の象徴である「和魂」（にぎみたま）の２つからなる。
また「和魂」は、「幸魂」（さきみたま）と「奇魂」（くしみたま）の２つからなる。
「幸魂」は、花が「咲く」、布を「裂く」など物が分裂して増殖することの象徴。
「奇魂」は、髪をすく「櫛」、「串」とも言い換えられ、統一することの象徴だ。
あるとき大国主命は海のかなたから飛んでくる光を見、「幸魂、奇魂」の悟りを得る。
つまり、侵略者に抵抗せず、国を譲り、民を増やしていくという道だ。
大国主命は仲間の部族がこれ以上殺されないように、平和的解決を提案し、「国譲り」をおこなった。大国主命を慕う部族があまりにも多く、反乱が起こるのを恐れた弥生系国家は、出雲大社を建て、大国主命の魂を幽閉した。
まあこれはオレの勝手な解釈なので、歴史の真実は誰も知らない。
その出雲の国に生まれ育った柴田久美子さんは世界初の看取り師であり、おとなりの米子で「なごみの里」を主催している。３週間前に東京の新橋でコラボライブをしたばっかりだが、今回はくんちゃんの地元へオレがやってきた。
出雲ドームのまえにあるライブハウス「アポロ」へ、島根はもちろん、鳥取や名古屋、はては鹿児島から見にきてくれた人もいる。
保険のコンサルタント山根さんとガス会社の取締役である石松さんが主催だ。ふたりは「できる思考リーダー委員会」という会をつくりさまざまなイベントを企画している。オープニングではお笑い芸人の前説ごとく会場をあたためてくれた。
なにやらくんちゃんは白い着物に赤い袴をはき、巫女さんのコスプレをしている。
「アキラさんにサプライズを用意したので楽しみにしててねー」と謎の笑を浮かべる。
現場でたくさんの「幸齢者」（高齢者）を看取ってきたくんちゃんは、死を日常の中にとりもどしたいという。
現代社会は死を恐ろしいもの、穢れたものとして、覆い隠してきた。６０年前は自宅で最期を迎えるのが当たり前（１０％）だったのに、今では８０％の人が病院や医療機器の中で死をむかえる。
「人の誕生も死もふつうの生活の中にあるのがあたりまえなんですね。ねぎを刻む音やお味噌汁のにおいのなかで、家族や子供たちに看取られながら亡くなっていく。死は怖いものでも特別なものでもなく、連綿とつづく命の歴史の中でくりかえされる大切な日常なんです」
１、 ウレシパモシリ
２、 Hello my mom!
３、 ギフト
４、 絆
５、 ソウルメイト
６、 家族
７、 MOVE! MOVE! MOVE!（アンコール）
８、 空の約束（アンコール）
９、 ありがとう（アンコール）
ライブは大成功で終わり、ほっとしたところにくんちゃんのサプライズが待っていた。
いきなり応援団が登場する。
ぬあにー！
ウエディングドレスを着せられたハルナが入場し、巫女に扮したくんちゃんが祝詞をあげる。あれよあれよというまに、盃に酒が注がれ、三々九度（３つの盃に３回酒が注がれる）がおこなわれる。
３ヶ月ぶりの酒だぜー。
よい子のみなさんは危険ですからマネをしないように。
