被爆体験 | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

9月13日(金)被爆体験を聴く会
080913hibaku

「フライングキッズ」で上田満子さん(76歳)の被爆体験を聴いた。
原爆が落ちる数日前から知り合いの軍曹に「8月6日は危ないから、広島をはなれなさい」と言われていた。しかし日本軍から「死なばもろとも」という教育を受けていたので、自宅に残っていた。
上田さんが14歳、弟が4歳のときだ。
爆心地から1,2キロのところに家はあった。母は米袋をつくろい、上田さんが縁側のてすりにつかまっていると、おかしな音がした。
上田さんが部屋に飛び込み、母と弟は外をむいていた。
とてつもない光が世界をつつんだ。
気がつくと、弟の顔の皮はふくれあがり、母は四谷怪談のお岩さんのようになっていた。上田さんは恐怖に身がすくんだが、こう自分に言い聞かせた。
「お化けじゃない、お化けじゃない、わたしの大切なお母さんだ」
上田さんは弟を背負い、母を方につかまらせて、瓦礫のなかを歩いた。河原の土手から見ると、町が消えていた。建物が崩れ、広島の町がぜんぶ見通せるのだ。
川のむこうで父の声がした。必死で叫ぶと、父が駆けつけてきた。
川を流れてきた布団と小さなやかんを拾った。
「水をくれー」
亡者の群れのように皮の垂れ下がった人々に、父がやかんで水をくばる。2杯目をもっていこうとすると、ほとんどの人はもう息絶えていた。
学校へ避難すると、たくさんの負傷者がうめき声をあげていた。乾パン3粒をもらい、気を失う。「そのへんにとち転がしておけ」という医者の言葉が聞こえた。
母の右腕は化膿し骨が見えていたが、医者は「死ぬ病人につける薬はない」とほうっておかれる。弟は膝にウジがわき、体中にアズキ色の斑点が浮き出し、数日後に亡くなった。
疎開先では「原爆病がうつる(感染する)」と忌み嫌われ、泥棒事件が起こると、疎開者のせいにされた。
戦後、上田さんは結婚するが、切迫流産、子宮外妊娠をくぐり、ついに新しい命を産み落とした。
上田さんが原爆について語ることは、当時の記憶を思い出し、身を切られるようにつらいことだ。
しかし上田さんには、地獄をくぐってきた者だけがもつ強靭な意志が感じられた。
フライングキッズの真美さんがこう質問した。
「アメリカや戦争に対する憎しみは、現在もありますか?」
上田さんは慈愛に満ちた目を上げ、静かに答えた。
「当時は母と弟を殺したアメリカを憎み、自分たちをだましつづけた日本を憎み、原爆を憎みました。しかし今はこうして生かされていることに感謝し、二度とわたしたちのように悲惨な体験をくり返さぬよう、命の大切さを伝えていこうと思います」

最後にオレがとーるの伴奏で「マーマレードスカイ」を歌う。
原爆の悲惨さを歌った歌はたくさんあるが、オレは人類未曾有の悲劇をのりこえてきた命そのもの力を歌い上げたかった。おそらく世界で唯一の「アフターヒロシマ」を歌った歌だろう。

I sow the marmalade sky
Everything is melted down in
Brilliant brilliant brilliant mournig
marmalade sky
so beautiful marmalade sky

まるで夢でも見てるよう
あなたとまた会えるなんて
蝉時雨ふる川辺さえ
なにも変わらないわ

紅茶に浮かぶオレンジが
深く沈んでゆく
不思議ね想い出熟すと
甘くなるなんて

時はすべてを壊し
時はすべてを変えて
人は命の火を伝えてく

I sow the marmalade sky
すべてが光に溶けていった朝
the marmalade sky
神が泣いた朝

おたがい少し年をとり
それぞれの暮らしがある
うまくいかないことばかり
それも人生かな

ときどきこんな世界など
消えてしまえって思うけど
守るべき命があれば
それで生きていける

時はすべてを奪い
時はすべてを与え
人は命の火を伝えてく

I sow the marmalade sky
すべてが光に溶けていった朝
the marmalade sky
神が死んだ朝

今度いつまた会えるかな
別々の道へ帰る
路面電車に手をふる
笑顔昔のまま

忘れるほうが幸せでも
忘れちゃいけないこともある
乗り越えられぬ悲しみは
誰も選べない

時はすべてを許し
時はすべてを癒し
人は命の火を伝えてく

I sow the marmalade sky
すべてが光に溶けていった朝
the marmalade sky
君が目覚める朝