新潟最後のK-BOXライブ | New 天の邪鬼日記

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2月17日(日)K-BOXライブ

ついに新潟最後のライブである。
よくもまあ赤道から帰国して、水道の凍った日光と雪国新潟で12本の連続ライブをこなしたものだ。シンガポールで引いた風邪も完治したし、かれそうな喉も最後までもった。それどころか回を重ねるごとに喉の調子がよくなってきているのよね。
Kaccoさんが主催する「K-BOX」は、心の病をかかえていたり、ひきこもりの若者たちに表現の場を提供するプロジェクトだ。月例ライブをはじめさまざまなイベントでステージをおこなっている。
次世代の若者たちに表現の場を提供するというのは大切なことだ。しかも彼らは人よりもつらい体験をくぐっている。社会的にはマイナスなことが、表現という武器を手に入れたとたんプラスに変わる。つまり心の病を抱えたものは、表現者としてもパスポートをもっているのだ。(世の中の作家やアーティストの作品が技術にばかりかたよっているのはパスポートをもってない者がつくるからである)
Kaccoさんとのコラボがきっかけで、K-BOXライブに急遽ゲスト出演することになった。
司会はKaccoさんと、パニック障害をかかえた「レッド」さんだ。場をなごませるジョークといい、ツッコミとボケといい、プロだねえ。
主演者はマチオ、閣下、純名、VEA、シーガル、Wattan、Kuu、コウキなど、次世代を担う若者たちだ。彼らが病気を抱えていたとは思えないほど、堂々としたパフォーマンスである。いや、病気を乗り越えてきたからこそ深い存在感がある。
新潟はすごいわ。オレは日本中回っているが、こわれ者の祭典やK-BOXのように病気やひきこもりを表現の力にまで昇華させる場はなかなかない。
後半はオレのソロだ。
歌いたい曲が多すぎて選ぶのが大変だったが、ここに集まったお客さんやK-BOXのみんなにもっともとどけたい曲から選んだ。

1、 alone
2、 心がくしゃみをした朝
3、 だいじょうぶマイフレンド
4、 家族
5、 祈りの歌(Kacco「ごめんなさい」)
6、 Happy birthday(アンコール)

ふだんは司会のみでパフォーマンスをおこなわないKaccoさんが、今日は特別オレとコラボ出演したので、みんな大喜びだ。喫茶マキでやった「祈りの歌」と「ごめんなさい」のコラボに会場はもうすすり泣き状態。涙を拭いた彼らの顔にはすっきりとした笑顔があった。
終わってから外でタバコを吸っていたら、今日はスタッフをやってくれたK-BOXの女の子、風見隼人がお父さんに電話をした。そして最後にこう言ったのだ。
「お父さん、愛してる」
するとびっくりしたお父さんは「な、なにバカなこと言ってるんだ」とあわてて電話を切った。すてきな絵を描く隼人は言う。
「アキラさんの家族を聴いたら急に親に電話したくなって、かけちゃいましたー。ずっと病気で迷惑かけてて、やっとほんとの気持ちを伝えられたんです」
もうひとりの女の子しょこたんも「家族」を聴いたあと「お母さん、ありがとう」って電話したという。
マジですっげーうれしいね。
新潟県は、秋田、青森、岩手、島根についで自殺率が高いという。欝や心の病も多い。こわれ者やK-BOXはそういうギリギリのところから登場したのかもしれない。新潟は日本の辺境ではなく、やがて世界的に広がっていく「マインド・ウォーズ(心の戦争)」の最前線なのだ。そしてこわれ者やK-BOXに終結したソルジャーたちがオレたちの未来を教えてくれる。

見栄やはったりの「強さの絆」ではなく、自分をさらけだした「弱さの絆」でつながる仲間。
障害や病気や年齢を超え、ちがいをちがいのまま認めるリスペクト。
世間からネガティブなレッテルを貼られた力をポジティブな表現に変えていくパワー。

これからは新潟の仲間たちを東京や関東に呼びたいと思う。オレもまた5月の終わりから新潟入りする予定だ。
最後に、月乃光司さん、アイコちゃん、Kaccoさん、清水くん、クールジョーカー、ヨッピー、マイマイ、マチオ、ミスター・ピーン&恭子さん、K-BOXのみんな、香川大介、護念寺の好円さん、玲子さん、保育園の子供たち、施設やライブスタッフのみなさん、きてくれたお客さん、オレと出会ってくれた人みんなに感謝をささげます。