パラダイス in マレーシア | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

北海道は氷点下10度で、東京にも雪が降ったのね。
がっはっは、皆の衆にはわるいが、オレはパーラダイスにいる。毎日、白い砂とエメラルドグリーンの海で泳いでおるぞ。
0801ビーチ

クアラルンプールの喧騒を逃れ、北へバスで4時間ほど行くとパンコール島がある。
パンコール島はいわゆる「スパンコール」の語源になった島で、食堂のおねえちゃんからごみ掃除のおばあちゃんまでウロコのように反射するたくさんのサクラ貝をビキニや民族衣装に縫いつけて踊っている……わけないじゃん。(スパンコールの語源もウソだからね。又聞きをえらそーに風潮しないように)
イスラム女性はスカーフをかぶり、漁業や観光で暮らす素朴な島民である。
高級なビーチリゾートもいくつかならんでいるが、島の西にあるテロッ・ニパという村には安宿もけっこうあり、「コーラルベイ」というすばらしいビーチが近くにある。
ランカウイ島やペナン島ほど有名じゃないので、ツーリストも少なくバックパッカーにも荒らされていない。静かにひきこもるのには最高の穴場だ。
しかもまたすごい部屋を見つけちゃったのよ。別棟の屋上にひとつだけある部屋は、なんとベランダがテニスコート二つ分くらいある。
0801ベランダ

この3階建ての別棟に宿泊客はオレひとり。巨大ベランダを独り占めできる。ううむ、王様の気分。ベトナムで皇帝だったころを思い出すなあ。
とにかくオレの生涯で無数に泊まったホテルでも最大のベランダだ。
アマゾンのような緑したたるジャングルのすきまから海を臨み、裏側の枯れ大木にはイーグルの親子が巣をつくり、猿がレストランの屋根を跳梁し、夜は巨大ベランダに大の字で寝て流れ星を数え、わずか20メートルしかはなれていない海の潮騒をララバイに眠る。
0801イーグル

もう聞いてるだけでも冬の日本を脱出したくなっちゃうでしょ?
マレーシアにくるなら、パンコール島のテロッ・ニパにいき、安宿が並ぶLot 4441通りにある「SURIYA BEACH RESORT」をたずね、いちばん奥の別棟の屋上にある「425室」に泊まりなさい。いいかい、この「425室」に泊まらなければパーラダイスにきた意味がないのだぞ。
ひとつだけ問題がある。
オーナーに交渉してかなり値切ったのだが、シンガポールの次に物価の高いマレーシアだ。
宿代が一泊1500円。
「なあんだ、そんなものか」などと、笑ってはいけない。
東南アジアではだいたい500円から1000円以下でシングルやダブルに泊まれる。ドミトリーは300円以下ですむが、歌をつくるオレとしては個室が必要なのだ。
しかたなく禁酒と食べ物で節約するしかない。
そうだ、クアラルンプールのミキちゃんが食い物をくれたはずだ。しかし袋を開けてみると、マルコメのインスタント味噌汁と永谷園のお茶漬け海苔……ぬわにいっ「味のマルタイ博多とんこつラーメン」だとう!
テロッ・ニパは売店が二つしかないような小さな村なので、パンも売ってない。しかたなくインスタント味噌汁を袋からしぼりだし、永谷園のお茶漬け海苔をふりかけ、クラッカーにつけて食う。ふうむ、なかなかのもんだわい。ひまだからこの和洋便宜食を「味噌蔵塚」と名づけよう。
0801味噌クラッカー

問題は博多とんこつラーメンである。
ガスコンロもないし、生で乾燥麺をバリバリむさぼり、粉末スープをパラパラと口に入れて唾液で溶かし、ミネラルウオーターを飲んでから全裸でひなたぼっこし、胃袋内ではじめて博多とんこつラーメンの完成!
って、おまえは人体丼ぶりか! 胃袋に角巻き文様か! 行列のできる万里の小腸か! またもや全裸体(全国ラーメン隊)か!
ってのもなんだよなあ。
そうだ、地球にやさしいエコライフだ、からだにやさしいLOHASだ、
太陽熱を利用しよう!
「ボンネットで目玉焼きができるほど」というロマンチックな歌もあったし、スルメもビーフジャーキーも太陽に当てるとアミノ酸が増えるではないか。われながら、さすが百戦練磨の貧乏人。じゃない、発明王である。
テロッ・ニパは洗濯したTシャツが2時間くらいで乾くほどの熱帯である。ペットボトルを3分の1ほどハサミで切り、なかに水を入れ直射日光のもとに放置しておく。午後3時くらいが暑さのピークだ。
汗をかいたペットボトルに、二つに折った麺をいれ、30分ほどふやかす。本場長浜の職人のごとく発明王も汗だくである。見えます、見えます、小人の「網野さん」が100人くらいペットボトルのなかでシンクロナイズドスイミングを踊っています。
「なんばしよっと?」
んもう、はんかくさいこと聞かんといてください。
小麦粉が溶け、真っ白ににごったペットボトルに粉末スープと調味油をそそげば見事博多とんこつラーメンが完成しよった!
0801トンコツラーメン

ペットボトルが深すぎて、どぎゃんして食ったらよか、こぎゃん傾けて流しこめば、おおおっ、お日様の匂いがしよる。この旅に出て初めての日本食やし、さすが本場のとんこつラーメンはちがうばい。ぬるいスープが胡麻の香りを引き立て、細面もふやけて太麺になっとるうえに、くっついて「すいとん」みたいな塊になっちゃってるけど、量が増えて一石二鳥ばい。
「本当に美味かとお?」
んもう、しょーもないこと聞かんといてください。発明王の名にかけて、美味いといったら美味かばい。太陽熱博多ラーメンは、しょっぱい汗の味がする世界一のラーメンばい!

毎日泳ぐか、歌をつくるかしかないキリギリスのような生活をしとるけん、こげんささやかな喜びが生きがいになりよる。
耳の穴ばかっぽじって、しかと聞きんしゃい。真実の幸せちゅうのんは、人々の賞賛や名声などとはまったく関係なか。ワシが幸せだといったら世界は天国に変わるけん、ほっといてください。太陽熱博多ラーメンのしょっぱい涙の味がするスープこそ、 まごうかたなき幸せの香りばーい!

「パン工場のにおい」

パン工場のにおいがふっと鼻をくすぐる午後
きみが言った「幸せってきっとこんな香りかも」

息を切らし汗を流し自転車を飛ばした
きみを乗せて青い空に吸いこまれそうだ

誰かに話したら笑われてしまいそうな
そんなありきたりな物語りぼくらの物語り

ささやかな笑顔
ちっぽけな涙
大きなものは小さなものに宿っている
さりげないやさしさ
なにげない思いやり
この世で学ぶだいじなものを
きみはすべて知っていた

「好きな人ができました」って短いメールから
きみがやっと書いた気持ち痛いくらいわかったよ

きみにかえす言葉もなく途方にくれていた
ぼくにできるひとつのこと それは歌うこと

誰かに聴かれたら恥ずかしくなりそうな
そんなどこにもある愛の歌ぼくらの愛の歌

ささやかな笑顔
ちっぽけな涙
大きなものは小さなものに宿っている
さりげないやさしさ
なにげない思いやり
この世で学ぶだいじなものを
きみはすべて知っていた


きみとぼくが流す一粒の涙が
やがては大きな河になる
無数の記憶をのせ木の葉が流れてく
永遠のふるさと目指し

ささやかな笑顔
ちっぽけな涙
大きなものは小さなものに宿っている
さりげないやさしさ
なにげない思いやり
この世で学ぶだいじなものを
きみはすべて知っていた

パン工場のにおいがふっと鼻をくすぐる午後
きみが言った「幸せってきっとこんな香りかも」

カポ5 key F-C
C /B /B♭A7D7 Gm/G♭/D/D♭ D7 G7
C /B /B♭A7D7 Gm/G♭/D/D♭ D7 G7 CC7
F G C C7 F G C C7 F E7 AmGF D7 G7
C Am FM7 Em7 Am G7
C Am FM7 Em7 Fm C
きみとぼくが流す一粒の涙が
Am G FM7 E7
Am G FM7 E7 G7

オリジナルKey -F
F /E/E♭ D7G7 Cm/B/B♭/A G7 C7
F /E/E♭ D7G7 Cm/B/B♭/A G7 C7 FF7
B♭C7 FF7 B♭C7 FF7 B♭A7 DmCB♭ G7 C7
F Dm B♭M7Am7 Dm C7
F Dm B♭M7Am7 B♭m F
きみとぼくが流す一粒の涙が
Dm C B♭M7 A7
Dm C B♭M7 A7 C7

太陽熱博多ラーメンのしょっぱい涙の味がするスープこそ、 まごうかたなき幸せの香りばーい!
あんたもうあっちへいって、一生それ食べてなさい。