「生き方は星空が教えてくれる」 | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

 朝の5時に起きてサッカーを見たんで眠い。
 いやあ前回準優勝のドイツを相手に高原が2点いれたのにはびっくりしたね。まあ最後は同点にされたけど、これならブラジルを負かしちゃう奇跡もありえんじゃねえの。

 「生き方は星空が教えてくれる」(サンマーク出版)を読んだ。
  著者の木内鶴彦さんは、4つもの彗星を発見した「彗星探索家」であり、天文学者である。
 木内さんが自衛隊で飛行管理の仕事をしていた22歳の時、背骨と動脈の間に十二指腸がはさまれて腸閉塞をおこし、臨死体験をする。
 心臓が停止してから蘇生するまでの30分間で、宇宙のはじまりから生命の発生、人類の歴史まで経験する。
 木内さんによると、宇宙は「膨大な意識」からできていたという。
 宇宙はビッグバンから生まれたのではなく、「膨大な意識」の「ひずみ」からはじまった。「ひずみ」によって生じたエネルギーの流れが渦をつくり、空間を漂うチリが引きよせられて物質が生まれた。
 最初に水素ができ、ガス状の元素が引き合い反発しあいながら大きな塊に成長し、自重が極限に達したとき、ビッグバンを起こした。大爆発によってヘリウムやリチウムが生まれ、成長と爆発をくりかえしながら新たな物質を生み、現在の3次元世界ができあがる。
 木内さんは「急に頭がよくなってきているような感覚」、「わからないことがなにもない、とてつもなく天才になったような気分」と書いているが、このような全能感は臨死体験やサイケデリック体験に共通のものである。
 生命の末裔であるオレたちは、宇宙の誕生から150億年の記憶を全細胞に宿しているはずだ。今回の生で君が体験した記憶は、そっくりそのまま宇宙の記憶の「投影」であり、君が小宇宙そのものなのだ。
 もちろん人間だけでなく、ミジンコからゴキブリ、昆虫や植物、セブンイレブンのビニール袋にいたるまであらゆる生命や物質は、宇宙の細胞であり、「必然」として存在する。
 君がどんなに自分の人生を否定しようと、役割のないものなどこの世に生まれてこない。
 だからといってアインシュタインや宇宙飛行士になる必要はない。
 君が身近な人に笑顔をむけた刹那、宇宙は変わる。
 君は宇宙を変えた調停者となるのだ。

 木内さんが6歳のころ、姉と川に水遊びにいった。川縁を目指して急斜面を降りているときに、上のほうで誰かが「危ない!」と叫んだ。
 前を歩いていた姉を突き飛ばし、反動で木内さんはうしろにひっくり返る。
 その間を大きな落石が通過していったのである。
 危機一髪で命拾いしたものの、上やまわりを探してもひとっこひとりいない。
 臨死体験中に木内さんはあの声の主を確かめたいと思い、過去へと遡行する。
 その場面にもどっていくと、あの瞬間が近づいているのがわかった。
 石が転げ落ちるとき、木内さんは思わず叫んでしまった。
「危ない!」
 幼い自分が(臨死体験中の)自分をパッと向き、姉の背中を押した。
 あのときの声の主はなんと、未来の自分だったのだ。
 「それはいいようのないショックだった」という。
 映画「ターミネーター」が未来からきて、歴史を書き換えるようなSFに聞こえるが、木内さんは過去と未来の壁を通り抜けてしまったらしい。
 ううむ、おもしろいぞ。もしかするとみんな気づかないだけで、こういうことは誰にでも起こっているのかも知れない。
 オレも何度も死にそうな目に遭っているが、未来の自分がやってきて助けてくれたのかあ。
 雪に寝袋が埋もれて凍死しそうになったときも未来の自分が鼻をつまんだり、拳銃をこめかみに突きつけられたときも未来の自分が野犬をけしかけたり、アヤワスカを飲みながらジャングルで断食したときも未来の自分が友人を救助に向かわせたのかも。
 そう思うと、死ぬのが楽しみである。「エライぞ、未来の自分!」と早く未来の自分に会って感謝したい。

 木内さんは臨死体験中(そのときは22歳)にこんな未来も見た。
 中年の男性がお寺でアジアの留学生に星の話をしている。30畳ほどの広間には立派な掛け軸がさがり、人々はコの字になって中年の男性の話を聞いているというものだ。
 臨死体験から38年後、木内さんは60歳になり、「将来世代フォーラム」というのに呼ばれ、高野山の清浄心院で講演をした。
 30畳ほどの広間にはいると臨死体験で見たのとまったく同じ掛け軸がかかっていた。アジアの留学生たちはコの字になって木内さんの星に関する話を聞いていたのだ。

 木内さんの発見したスウィフト・タットル彗星が軌道計算によると、
 2126年の8月14日、日本時間の10時35分頃、インド洋あたりに落ちる可能性がある。
 1994年、京都に64カ国が集まって国際会議を開いたとき、木内さんはこの彗星から地球を守る方法を提案した。
 アメリカが軍事目的で開発したインターネットを一般に開放すること。
 国際協力のもとで宇宙ステーションをつくり、 地球を彗星衝突から守る構想に取り組むこと。
 現在インターネットは開放され、16カ国が参加して宇宙ステーションが建築されている。
 そのときに、ヨーロッパの植物学者がこんなことを言いだした。
 「2126年を待つまでもなく、2011年には植物がいっせいに枯れはじめ、2014年には人類は滅びている」と。
 それは公害ではなく、「光害」と呼ばれる光の害によって起こる。
 人工衛星から見ると地球の夜が年々明るくなっている。人工的な明かりにさらされつづける植物がストレスにより枯れていく。
 植物の葉は二酸化炭素を酸素に変えてくれる。葉の総面積が減りつづけ、増えつづける二酸化炭素の量に追いつけなくなる日がくる。すると2014年には、標高0メートル地帯の酸素量が、標高8000メートルの酸素の量と同じぐらいになるという。二酸化炭素は沈むため、高さ100メートルくらいまでは二酸化炭素でおおわれ、人間はもちろん動物も植物も生きることはできない。
 ちょっと気になるのはマヤ暦が終わる2012年と重なっていることだ。

 しかし未来は完全に決まっているわけではなく、自分で選び取れるようだ。
 臨死体験の中で中年の自分を見た木内さんは、さらに未来を見ようとした。
 不鮮明なビジョンとして浮かびあがってきたのは、初老になった自分が砂漠のように荒れ果てた大地で廃墟の石に腰かけて愕然としている姿だった。
 そのビジョンに重なるように見えてきたのが緑の多い場所で星を見ている自分である。星座の位置と自分の容貌から、2つのビジョンが同時刻の同じ場所であることがわかったという。
 まるでカードを引くように未来は自分たちの選択にかかっているとオレは思う。
 あらゆる瞬間に未来はオレたちに問いつめている。
 おまえはどのような未来を選びたいのか?
 おまえたちは緑の地球を存続させたいのか?
 オレたちのちっぽけな日常のささやかな選択が積み重なって未来がつくられていく。
 今この瞬間に君が迷っているなら、
 「楽なほう」ではなく、
 「楽しいほう」を選ぼう。
 星空をとりもどすために。

 もう一度言う。
 君が身近な人に笑顔をむけた刹那、宇宙は変わる。