「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」は、2012年に公開された、宇宙刑事シリーズの映画である。
脚本は小林雄次氏、監督は金田治氏である。
小林氏は、本作の前日談となる小説も担当している。
冒頭に、「宇宙刑事シリーズ30周年記念作品」とのクレジットが出る。
この作品は、公開当時は見ていない。
2017年11月3日に、キッズステーションで放映したのを録画し、7月
27日に見た。
なので初見である。
たぶんノーカットと思われる。
「宇宙刑事ギャバン」は、昭和57年に放映された作品である。
自分が東映特撮作品を本格的に見始めたのは昭和59年で、その時に放映していたのは、「宇宙刑事シャイダー」だった。
「ギャバン」は、再放送で、全話ではないが見ている。
ファンコレも買ったので、ほぼストーリーの内容は知っている。
「ギャバン」は、当時、コンバットスーツのデザインや魔空空間の描写、大葉健二氏のアクションなどが話題となり、宇宙刑事シリーズ、更にはメタルヒーローシリーズとしてシリーズ化された。
言わば、現在の平成仮面ライダーシリーズまで続くシリーズの礎となった作品である(「ギャバン」の前番組は「ハロー!サンディベル」)。
ただ、その頃は、個人的にそんなに東映特撮作品に愛着があったわけでもなく、当時の戦隊シリーズ、「ゴーグルⅤ」や「バイオマン」の方が好きだったため、「ギャバン」に対しては特に思い入れもないし、現在まで全話きちんと見ていない。
2012年の1月に、「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」が公開され、約29年ぶりに、ギャバンが復活した。
戦隊のVSシリーズは、前年の戦隊と戦うのが通例だが、ゴーカイジャーは、既に「ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊 199ヒーロー大決戦」でゴセイジャーと共闘しているため、「VSギャバン」ということになった。
この頃は、東映特撮映画の公開が多く、子どもと一緒に見に行ききれなくなっていたこともあり、見に行っていない。
そして、続いて、ついにギャバンを主役とした映画が制作された。
ストーリーは、主人公とその親友が敵対関係になり、そこに幼なじみの女性が絡むというストレートな展開である。
ただ、子どもの頃からの知り合いということもあって、「仮面ライダー THE FIRST」で感じた違和感や唐突感はなかった。
衣月役は、滝裕可里さん。
「リミット」や「ウルトラマンギンガS」、現在も「仮面ライダービルド」に出演していて、ブログに「ギンガS」の根岸拓哉さんたちのことを載せたり、特撮への愛が感じられる女優さんである。
だから、ヒロイン役というのはうれしかったし、これからも頑張って欲しいと思う。
コム長官役で西沢利明氏が出演していたのは、すごくよかったし、小次郎さんのその後に触れていたり、主題歌も昔のままだったり、旧作への配慮が感じられた(西沢氏は翌年亡くなっている)。
ただ、ナレーターが政宗一成氏でないのが残念だった。
さらに、二代目シャリバンとシャイダーが登場する。
あんまり必然性は感じないものの、画面は派手になったと思う。
ただ、今回の映画の展開上だけのことを言えば、初代ならともかく二代目はいらないなって感じた。
その後発売されたVシネマをまだ見ていないからあまり大きなことは言えないのだが、テレビを通して1年間同じ時間を過ごしてきた初代に比べ、愛着を感じないし、とってつけた感があった。
個人的に、岩永洋昭氏は、「レスキューフォース」のR5や「仮面ライダーオーズ」のバースの印象が強いから、シャイダーのイメージに合わない気がした。
今回の映画は、ギャバンの引き継ぎということで、撃が成長してギャバンの名を継ぐまでの過程がテーマである。
最後、ギャバンハイパーダイナミックという新必殺技を披露している。
ただ、大葉健二氏が出てくると、しかたないけれど、やっぱり喰われてしまう。
前に、所謂平成ウルトラセブンの時も、森次晃嗣氏が出てくると、その圧倒的な存在感を感じたが、二代目が初代を超えるというのはなかなか難しい。
ウルトラシリーズや仮面ライダーは、別のウルトラマンやライダーを出すことでそれを解消していたが、宇宙刑事ギャバンでなく、シャリバンの時のように、何故新宇宙刑事にしなかったのか。
それだけ、宇宙刑事シリーズではなく、ギャバンに特別なものがあるのかもしれない。
ストーリーは、最後、遠矢は死に、ドン・ホラーは復活しなかった。
以前、1年かけてようやく倒せたドン・ホラーが、1時間半くらいで倒されてしまうのは不自然なので、この終わり方はよかったと思う。
そして、衣月に手紙を残し、撃は宇宙に旅立っていく。
その後、ギャバンtypeGは、「スーパーヒーロー大戦Z」、「シャリバン」と「シャイダー」のVシネマ、「スペーススクワッド」2作、「キュウレンジャー」に登場し、テレビシリーズは制作されないものの、二代目として活躍し続けている。
ただ、衣月は出ず、その後の2人の関係がどうなったかは不明のままのようである。
特撮的には、電子星獣ドルは、CGよりミニチュアの方が実在感があるなって感じたが、個人的に、ギャバンのレーザーブレードの光が消えるシーンがすごくよかった。
テレビの時はなかったと思うから、なんか芸コマって感じで、一番印象的だった。
「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」への思い入れはそんなにないけれど、一本の映画として楽しめたし、何より久しぶりに「ギャバン」のことを思い出させてくれた作品であった。