ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOSについて | 北条明の世界

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ゴジラ×モスラ×メカゴジラ

「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」は、2003年に公開された、ゴジラシリーズの第27作(アメリカ版除く)であり、ミレニアムシリーズの第5作である。

「×メカゴジラ」の完全な続編で、監督は前作と同じ手塚昌明氏。

脚本は、手塚監督と横谷昌宏氏の共同脚本である。

公開時、映画館で見ていない。

たぶん、公開の翌年にテレビ放映したものを見たんだと思う。

 

2016年7月にBSプレミアム「プレミアムシネマ」で放送されたのを、5月6日に見た。

おそらくノーカット放送である。

今回のブログは、この放送を基に記載する。

 

「×メカゴジラ」から約1年後。

機龍の修復作業が行われる中、家城茜は、葉山らとアメリカに研修に行くことになった。

一方、中條信一のもとに、小美人が現れ、ゴジラの骨を海に返して欲しいと伝え、、モスラがゴジラから日本を守るという。

そして、ゴジラが再上陸し、モスラ成虫、機龍、モスラ幼虫と戦う。

 

今作の主人公は、機龍の整備士、中條義人である。

前作の主人公、家城茜は、アメリカに研修に行くということで、冒頭、壮行会のシーンで登場する。

そして、機龍のドックで、中條と言葉を交わす。

映画の作劇上、主人公の変更は致し方ないと思うので(個人的には、家城茜の継続でもよかったが)、この主人公が前作の主人公から機龍を託されるシーンは、丁寧な作りで好感が持てる。

整備士が主人公ということで、制御不能になった機龍を義人が再起動するのが、クライマックスとなる。

その際、義人が入ったMB-3は、1年前に茜が入ったのと同じところであり、気を失っていた義人が茜の声で目覚めるというのも、前作の主人公茜への思いが感じられた。

ゴジラ撃退後、茜がアメリカから帰ってきて、義人に思いを伝えるシーンがあればいいと思ったが、十分に茜をフォローしていると感じられた。

また、義人が、機龍から脱出できなくなっているのに、自分が犠牲になることも顧みずに、「脱出しました」というのがかっこよかった。

演じたのは、ガオレッドの金子昇氏。

 

他の登場人物では、「モスラ」の中條信一が登場するのは、第2作以降のゴジラシリーズ以外の東宝特撮映画が実際に起こった世界観というのを意識させる配役だった。

 

ゴジラは、胸の傷痕から、前作と同一の個体と特定されている。

こういう細かい部分がすごく好きである。

 

機龍は、前作を引き継ぎ、しらさぎで遠隔操縦される。

しらさぎ3号機が、前作で撃墜されたため、4号機が出撃しているが、ここにも細かい配慮が感じられる。

アブソリュート・ゼロは、ダイヤモンドを調達できなかったため、今回は搭載されず、代わりに三連ハイパーメーサーが装備されている。

右手がドリルになる。

また、バックユニットを射出させる前提で改良されており、一発目はゴジラの熱線で撃ち落とされているが、二発目は命中している。

 

モスラは、成虫と双子の幼虫が登場する。

「モスラ」の小美人の同族も登場している。

VSシリーズのモスラのように光線を出すことはなく、鱗粉攻撃をするのが昔のモスラっぽい。

幼虫が双子というのも、昭和の「モスラ対ゴジラ」(この作品の世界観ではなかった出来事であるが)を彷彿させる。

個人的に、自分はモスラはあんまり好きじゃない。

ファンタジーっぽいのが苦手なのと、恐竜型怪獣に比べかっこよくない、妙にいい子いい子しているのも今一つだし、「モスラの歌」は緊迫感を損なっている感じがする。

なので、ゴジラとモスラが戦っている時は、「ゴジラ頑張れ!、負けろ!モスラ」と思って見ていた。

モスラ幼虫は、成虫が死んだ時に、目が青から赤に変わるが、これは感情が高ぶったためということである。

 

そして、今回、一番印象的だったのは、カメーバである。

ゴジラに倒された死体として出てくるのだが、「34年前にセルジオ島で宮博士が…」という台詞が入り、ちゃんと「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」の設定を踏襲している。

自分は、5歳の時に、この映画を見に行っていて、しかも見に行った記憶がちゃんとある。

そんなこともあって、この映画には思い入れがあり、カメーバの登場はすごくうれしかった。

カメーバのことを如月梓が知っているのは、オキみたいでよかった。

梓は、今一つヒロインとしてスポットが当たっていなかったが、このシーンと、最後の義人を救おうと懸命になるところは印象的である。

 

最後、モスラ幼虫の糸でグルグル巻きにされたゴジラを、三連ハイパーメーサーでとどめを刺そうとするが、また機龍が制御不能になる。

そして、義人は機龍の思いを知る。

この時に、初代ゴジラ、前作の回想シーン、茜と機龍のドッグで交わした台詞がインサートされる。

機龍の意識が目覚め、ワイヤーで自身とゴジラをグルグル巻きにし、一緒に日本海溝に沈んでいく。

このゴジラを抱きかかえているメカゴジラの姿は、義人を助けて抱えている秋葉と対になっている。

エンディングタイトル後に、ゴジラのDNAが映し出されて終わる。

人間が怪獣の命をもてあそぶのはやめられないというのを示唆している意味深なラストシーンである。

 

機龍が、ゴジラの骨を骨格にしているという設定が、機龍のキャラクターに深みを持たせ、ストーリー展開を面白くしていると思う。

初代メカゴジラも、「メカゴジラの逆襲」という続編が制作されたが、メカゴジラというのは、1作では語りきれない魅力を持つ怪獣なんだと思う。

ただ、最後に、完全に機龍の意識が覚醒し、ゴジラを道連れにするというのは、個人的には、若干やり過ぎ感を感じた。

ゴジラの骨を基にしているとはいえ、完全に意図を持って行動するのは、科学的な根拠に欠ける感じがした。

停止するとか暴走するとか、ちょっと曖昧な感じの方が、リアルな感じがする。

 

前作の続編ということで、前作の設定を踏襲しているのは、前作が好きだった自分にとって、とてもよかった。

監督が、同じ手塚監督ということで、細かい部分まで配慮が行き届いていた。

個人的に、手塚監督とは、好みの趣向が似ているのか、こういうシーンが好きというのが多く、ストーリーの展開もすごく面白く感じられる。

ただ、前作ほどの興行収入は取れず、ミレニアムシリーズは、次作で打ち切りというのを決定させてしまったらしい。

続編としてかなりいい線行っていると個人的には思うだけに、前作ほど支持を得られなかったのは、何故なんだろうと感じる。

「×メカゴジラ」と続けて久しぶりに見て、ミレニアムシリーズって、漠然と思っていた以上に面白いし、しっかりと作られているというのを再認識させられた。