劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!について | 北条明の世界

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劇場版ウルトラマンジード

「劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!」は、3月10日に公開された「ウルトラマンジード」の劇場版である。

監督はテレビ版のメイン監督である坂本浩一氏だが、脚本は根本歳三氏で、乙一(安達寛高)氏は脚本協力となっている。

3月16日(金)、13時25分から、新宿ピカデリーで、一人で鑑賞。

親子連れが2~3組、男性客、カップル、女性一人などで、50~60人くらいの観客がいた。

 

ストーリーは、

過去に巨大人工頭脳ギルパリスによって故郷と父を失い、地球に流れ着いたアイル(比嘉愛流)。

そして、現代、知的生命体を滅ぼそうと考えるギルパリスが地球にやってきた。

ギルパリスを倒すことのできる「赤き鋼」を探すリクたちだが、ゼロがいない今、リクは自分が地球を守らなくてはという思いにとらわれてしまう。

そんなリクの前にガイが現れ、共に戦う。

 

今回の敵ギルパリスは、キラー ザ ビートスターを彷彿させる。

ただ、圧倒的に強いという感じはしなかった。

 

キャラクターでは、ジャグラーが一番印象的だった。

ジャグラーが出てくると、全てがジャグラー色になってしまうというくらい、強い個性があった。

ガイも石黒英雄氏の印象が強烈で、「オーブ」のキャラの濃さを感じた。

ジャグラーが巨大化する時に、愛流のペンダントの力を使うのだが、ジャグラーは自分の力で巨大ができると思っていたから、ちょっと意外な感じがした。

「オーブ」でジャグラーが巨大化した時は、何らかの外からの力が働いていたらしい。

 

愛流役の本仮屋ユイカ氏は、透明感があってよかった。

ドンシャインのポーズのまねをしたり、お茶目な面も見せていた。

最後は死んでしまったが、安易に生き返ったりせずに、使命を全うして地球に眠っているというのは、ある意味、愛流の望みだったような気がする。

 

あと、ウルトラの母の声が、昔懐かしい池田昌子氏に戻っていたのはうれしかった。

長谷川理恵氏の声は、若い頃のマリーの声には合うが、今の母の声にはもっと母性を感じさせる池田氏の方が合っていると思う。

 

今回の映画では、ギャラクトロンの出自が描かれる。

ギャラクトロンは、結局、ギルパリスが知的生命体を滅ぼすために送り込んだものだったということであった。

ギャラクトロンは、最近の怪獣では、実力もルックスもかなりいい線をいっている怪獣だけに、大量生産されている手下というのはちょっと残念な気がした。

出自が明かされるのは興味深いが、もうちょっと強敵にふさわしい設定にして欲しかった気はする。

 

他に見ていて感じたのは、

 

まず、何と言っても、ジャンボットとリクの対面である。

ジャンボットがリクに会うシーンは、濱田氏がリクになった時から見たかったシーンであり、念願がかなった気がした。

ベリアルと因縁があったウルティメイトフォースゼロは、テレビ版「ジード」に出てこなかったのが残念だっただけに、最後の最後だったけど、登場してきてよかった。

 

あと、シャイニングゼロが遂に登場した。

シャイニングゼロは、「ウルトラゼロファイト」の第2部の時のように、ゼロの意志と関係なく変身してしまうものだと思っていたから、自分で変身できるようになったんだと感慨深かった。

…のだが、今回調べていたら、「劇場版 ウルトラマンギンガS」でも変身していたらしい。

映画館とテレビとで、合計3回見ているんだが、忘れていた。

 

他には、ギガバトルナイザーが作られた経緯が語られた。

今回の新アイテム=ギガファイナライザーと対になるものだったということで、作ったのは、アイルの故郷、惑星クシアの人たちである。

バトルナイザーは、レイプラッド星人が作ったものだと思っていたから意外だった。

「ジード」は、ベリアルの息子という設定もあり、「ウルトラ銀河伝説」とのからみが多く、それはそれでいいんだけど、ギガバトルナイザーの誕生の秘密としては浅い感がある。

普通のバトルナイザーはどうやって生まれたのかなど、もう少し掘り下げた設定を今後語って欲しい。

 

あと、レッキングバーストを撃っている時に、目が赤くなっていたとか、宇宙人街の宇宙人の中に、やっぱりわからない奴がいるとかに興味を惹かれた。

 

ストーリーにはあまり目新しさを感じなかったが、過去作とのいろんなからみがあって、ウルトラシリーズをずっと見てきた自分にとっては、そういうのが面白かった。

ただ、個人的には、前作、前々作の方が、感情移入できた気がする。

 

以前のMBSウルトラシリーズの映画では、ティガとかが、基本スタイルのマルチタイプだけで、タイプチェンジしていなかった。

それを不自然に感じていたから、いろんなフォームが出てくるのは、うれしい。

ただ、全フォームを登場させるというのは、戦闘に時間がかかり、漫然とした印象になってしまった感がある。

 

現在、ウルトラシリーズは、7月から12月まで半年間、新作が放映され、残りの半年を再構成作品、3月に映画が公開というペースが定着している。

第2期シリーズを見ていた自分としては、以前のように、1年間のテレビシリーズをという思いはある。

ただ、この形でも、新作ウルトラシリーズが見られるというのは、本当にうれしい。

ただ、映画は、「ウルトラ銀河伝説」や「超ウルトラ8兄弟」のような映画色の強いものでなくなり、ちょっと強い敵と先輩ウルトラマン、新フォームや新アイテムの登場レベルになってしまった気がする。

贅沢な望みではあるが、テレビの世界観を遥かに超えた「テレビじゃ見れない」ウルトラ映画も見てみたい。