前回は、堀川早苗さんのことだけ書いて終わってしまったので、「不思議少女ナイルなトトメス」のそれ以外のことについて書いていく。
なお、東映特撮YouTubeOfficialでの配信期間は、2016年12月26日~6月26日であった。
「トトメス」は、ストーリーとしては、ナイルの悪魔が誰かにとりついて、それで起こる騒動を描いている。
最後に、トトメスが出てきて、事態を収拾する。
トトメスは、ウルトラマンと同じデウス・エクス・マキナ的な存在であり、最終回を除いて、ほとんど無敵であった。
ストーリーとしては、その展開がどうなるかという興味をあまり惹かれることはないが、なぜか、見終わると心が暖かくなる。
表面上はくだらないのに、それが不思議である。
全話の脚本を担当した浦沢義雄氏の力量とキャラクターの魅力にあると思う。
サナエ以外のキャラクターでは、何と言っても、斉木しげる氏のサナエの父ケンゾーがいい味を出している。
コミカルキャラなんだけど、哀愁がある。
斉木氏が、「ぱいぱい」から4作連続の出演というのも頷ける。
サナエの母は、サナエと全然似ていないんだけど、作品世界に合っていた。
そして、妹のマナミ。
イツカ、ハナコと後半でトトメス少女隊を結成するが、この3人は本当に腹黒い。
ただ、マナミは、最終回で、唯一トトメスの正体を知るが、その際の姉への思いはすごく心に感じるものがあった。
エンディングでも、すごく仲のいい姉妹という感じで、表面上は腹黒いけれど、心根は優しいものがある。
実際に、早苗さんと関真奈美ちゃんはとても仲が良かったそうである。
ティナは、トトメス少女隊と真逆で、天然キャラである。
サナエと友達というのにもリアリティがあった。
ティナの父が、アクション担当の岡田勝氏だが、この人もいいキャラだった。
セミレギュラーの中では、働かない警官が好きだった。
いつもカツ丼ばかり食べていて、それでいてなんか憎めないところがあった。
個人的に、国家体制を揶揄するのは必要なことだと考えているので、警察官をおちょくっているこういう描写は好きだった。
松本塾の松本先生役の津村鷹志氏は、「ウルトラマンタロウ」の北島隊員役だったこともあり、懐かしかった。
そして、ワルサ委員長。
仲間のために一生懸命やっているのに、どこか空回りして報われない哀愁を感じるキャラクターだった。
ワルサを慕う女性キャラが多く、一人また一人と捕まっていく。
ただ、登場しない回も多く、それが「トトメス」の自由なところなんだけど、もう少し活躍させてもよかったのではないかと感じる。
あと、ナイルの悪魔労働組合を結成した時に、残りのナイルの悪魔が集合しているんだけど、そこにいたのにその後出てこなかったナイルの悪魔も多かった。
その辺の整合性を気にしない作品だからどうでもいいんだけど、個人的には、ナイルの悪魔はいろいろな姿に変身できるのだと思っている。
「トトメス」の中で特筆すべきなのは、音楽である。
音楽を担当したのは、本間勇輔氏であるが、そのどれもが、シーンにピタっとはまっていた。
そして、全てが名曲であった。
自ら作曲した主題歌「元気あげるね」をアレンジした曲もとてもよかった。
一番好きな曲は、第22話での回想シーンで使用された哀愁を帯びた曲で、あと「しばれパピルス」の曲も好きだった。
他にもいかにもエジプトって感じの曲も作品のイメージにピッタリである。
本間氏は、意外にも「勝手に!カミタマン」が、初めての劇伴の作曲だったそうであるが、「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」の音楽の時も感じたが、すごくいい曲を作っている。
主題歌は、石川ひとみさんが歌っている。
石川さんは、高校生の時にファンだったが、「トトメス」の頃は、もうレコードは買ってなかったので、ひとみさんから早苗さんに乗り換えたみたいで、当時若干後ろめたい気がしていた。
「元気あげるね」は購入した。
「トトメス」の中で、印象に残っているストーリーとキャラクターとしては、
初期に出てきた不幸のドン底に陥れられる善良な市民が好きだった。
毎回違うシチュエーションで最後まで出てきて欲しかった。
第3話の「寄せ鍋の女王」は、サナエの父の悲哀が漂う話で印象に残っている。
寄せ鍋の女王役は、「マスクマン」のイアル姫を演じた浅見美那氏である。
第6話の「チョコレート好きな悪魔」も、ジライヤ役の筒井巧氏が出演したこともあり、よく覚えている。
オタク仮面は、特撮おたくとしては、すごく面白かった。
ナイルの悪魔三兄弟の長男の回で、サナエが変身したマッチ売りの少女はすごくかわいかった。
三男が出川哲朗氏というのは、今回の配信まで知らなかった。
第22話の、サナエが、デート中に、トトメスとしてナイルの悪魔を倒しに行かなければならなくなったためにふられてしまうという回想シーンはすごくせつなかった。
「トトメス」の中で、一番好きなシーンである。
「聖ナイルの悪魔」と「サンタを信じる」は、すごくいい話だった。
「サンタを信じる」の予告編の最後のワルサ委員長の淋しげな顔は、本放送の時から強く記憶に残っている。
後半は、ナイルの悪魔が人間に利用されたり、同情する話が多かった。
それにもかかわらず、情け容赦なく捕まえるトトメスがちょっと非情に思えた。
そして最終回。
トトメスとして一年間頑張ってきたのに、成績は下がり、街の人からも迫害され、悩むサナエ、それを慰めるナイルの悪魔。
遂に正体を知ったマナミの思い、そしていつもと変わらない中島家のシーンで作品は終わる。
1時間スペシャル(今回の配信では2話に分割しているバージョン)というだけでなく、一年間の集大成という感じのする最終回であった。
今回の配信で再度見て、本当に素晴らしい作品だというのを再認識させられた。
各話のメモをとりながら真剣に見ていたが、それくらい思いを寄せられる作品であった。