ライトマン映画の感想⑤ | アキラの映画感想日記

アキラの映画感想日記

映画を通した社会批判

恋心は肉体から生じる

 

 

抱きたいカンケイ 

 

久しぶりのB級SF監督アイバンライトマン。クローネンバーグやナタリと同じ国策助成金で活躍したカナダの敏腕プロデューサー兼監督だけあって最近じゃエゴヤンを誘って『クロエ』を撮らせた訳だが同時に本人はこんな典型的なラブコメを撮っていた。いわゆる幼馴染の映画人と女医が再会してセフレになるって話。女医は恋愛が面倒臭くて即物的な関係を求めたって訳だ。でも心って奴は肉体に付随してるのだから体を重ねれば当然情も移るってもの。惚れ始めた自分に戸惑い隠し続けようとする女医をコミカルに描く。フィジカリストの私から見れば心なんて妄想であり肉体が惹かれ合えば気持ちが傾くのは当たり前。

 

ビリーワイルダーやブレイクエドワーズの頃からハリウッドには腐るほどある典型的なロマンチックコメディと思いきや耶蘇教的価値観ベースのハリウッド映画とは違う価値観を見せる。むしろ『夜霧のマンハッタン』の頃から彼の作品に一貫してる恋愛観がここで集大成を見せたとも云えます。それはポリコレやコンプラに腐った現代米国では疎まれる普遍的真理。米国社会に溶け込んで娯楽SFコメディの第一線を走って来て最近亡くなったライトマンだが最後にプロデュースして息子に撮らせビルマーレーとシガニーウィバーが再登場した『ゴーストバスターズ3』で語られる価値観に至るまで意外に米国的ではない魅力を持っています。