映画『パリピ孔明』の感想 | アキラの映画感想日記

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パリピ孔明 Road to Summer Sonia

 

TV版ワンクール30分×12話の尺を約2時間にまとめる総集編型の劇場版って奴はその多くが御新規さん獲得よりも固定ファン層を喜ばせる事を目的としているので私のような初見層には意味不明な場合が多い。あの京アニの代表作『境界の彼方』にしても前後編に分けているにも関わらず派手なバトルばかり詰め込み過ぎて地味だけど重要な展開の説明シーンがないまま進むので途中から意味不になっていました。そんな閉じた層向けと違って今作はパリピだからなのか御新規さんにも開かれていてモノローグでダイジェスト的に省略される所も実に自然に進み、しっかりと重要エピソードを抽出した脚本に仕上がっていました。ただタイトルにパリピとあるが我々オタク勢から見ればパリピって奴は世間の流行に乗るだけで何も成し得ない軽蔑すべき存在だが今作に描かれる人間はライブハウス文化やバンド活動に夢中になり命かけて一つの道を究めるって意味では我々と同じ何かを成し得る連中なのだ。ミュージシャンって奴は基本的に音楽オタクの頂点であり空虚で愚かな大衆たるパリピではありません。

 

この物語は現代渋谷にタイムスリップした諸葛亮孔明がライブハウスで聴いた歌手の卵の歌声に惚れ込み彼女をスターダムに伸し上げるべく軍師として策を講じるバンドマン系サクセスストーリー。この冒頭の孔明が惚れ込むシーンからライブシーンの演出が秀逸でスゲー奴感にちゃんと説得力があるので物語にも引き込まれます。ステージ恐怖症になった伝説のヒップホップ少年であったりプロになる為にアイドル化したガールズバンドであったり敵や味方になる周囲の人物も魅力的。音楽あるある話に苦しむ所を古の知性と策略で突破する快進撃が見ていて痛快です。やはり欧米的利権に固まったクソ世界を突破するのは支那大陸の古の知恵。同じアジア人として実に誇らしい。いわゆる資本主義社会って奴は一見実力主義にも見えるが実際には資本力がある所しか勝てないシステムであり、どんなに実力があっても資本力に圧し潰されてしまう。だが圧倒的実力に、それを適切に使う知恵が加われば下剋上も可能なのです。この映画のクライマックスのガールズバンドのエピソードは正に人間の力と知恵が巨大資本の暴力を叩き潰すって感じで激しく共感できました。ブルシット状態を突破して本当の実力で勝負できる人間こそが魅力的。資本主義文明に人間主義文化が打ち勝って欲しいから。