映画『陽暉楼』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

ライバルは親友

 

 

陽暉楼

 

No.1芸子とNo.1女郎の女同士の友情モノ。いわゆる惚れた腫れたが日常な商売だけに悲劇のドラマは沢山出て来る訳だが、この芸子の末路を女郎が聞いた時の「殺してやる!」という反応だけはグッと来るものがあっただけに、この物語の肝が分った。この二人は最初は客を取り合い見下したの何だの体当たりのケンカを繰り広げる訳だが、だんだんに互いを認め合う関係へと発展する。やはり芸子たちには女郎に対する差別意識がある。そりゃ今風に云えば芸子は枕営業付きのアイドルみたいな物だが女郎はソープ嬢みたいな単なる淫売。芸子の面接に落ちた主人公が「女を売るのは同じ」だと半ばヤケクソ気味に女郎になるが、これは容姿に恵まれた女性としては実に勿体ない事なのだ。

 

いわゆる大筋としては鉄道の開通で大阪のヤクザが地方の伝統ある遊郭に手を出せる状況になりつつある中、緒方拳演じる女衒が遊郭の女たちを守ろうと陰から支える物語な訳だが、やはりいくら活躍した所で所詮はヒモだけに感情移入はできなかった。それに比べ差別意識によるケンカから始まった友情って奴には感情移入できるしドラマチックな魅力がある。いかにも五社作品らしいドメスティックなドラマには食あたりを起しても、その点だけは見ていて不快ではなかった。