映画『コトブキ』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

強引なダイジェスト

荒野のコトブキ飛行隊 完全版

 

副題にわざわざ完全版と銘打ってあるが、むしろ完全版はTVアニメシリーズの方であり、この劇場版の方は、それを何とか2Hの尺に詰め込んだ総集編に過ぎません。できるだけ伏線を切らないように主要人物のエピソードを要点だけでも盛り込もうとする工夫は成されているものの脇の人物に関しては「何処から湧いて出た?」って印象を覚える所も多くてダイジェストの限界を感じさせました。TVシリーズを知らない私から見て無理な詰め込みに見える今作もストーリーを知っているアニメファンからすればシリーズを反芻する愉しみがあるのかもしれない。ただ先にTVアニメシリーズを見ていた『進撃の巨人』や『まどマギ』や『あの花』等を映画版で見た時も私にはガッカリ感しかありませんでした。ダイジェストは云わば欠損版なので抜かれたエピソードを脳内補完しながら見ていた。その意味で今作は抜かれた部分が気になる作りにする事でアニメシリーズの方へ誘導する戦略なのかもしれない。

 

この物語は異世界を舞台に現実世界から来た日本軍が残していった戦闘機を使って少女パイロットたちがバトルを展開するってな内容。割と紋切り型に定番のキャラ設定がなされた少女たちのドラマではあるが、そこに仕事を依頼する大人たちの事情が、それぞれちゃんと筋が通っていて納得できる内容にはなっていました。どうも最初は隊長ケイトが主人公だと思って見ていた訳だが途中から登場するキリエって奴が実は主人公のようです。ストーリーとしても悪役との因縁やら仲間との確執やら彼女の苦悩に焦点が当てられて、その点に関してはキャラの魅力を存分に引き出して感情移入できる作りにはなっていました。それだけに歯抜けダイジェストなんかではなくオリジナル劇場版が見たかった。まあダイジェストなら工数ほぼゼロで映画一本分の製作費が浮くからビジネス的には美味しいのだけど、こーゆーナメた商法を続けてると売れるものも売れなくなります。