クズ親
思い、思われ、ふり、ふられ
ごくありふれた高校生男女4人が互いへの恋愛感情で揺れる甘々な四角関係のラブストーリー。ソープオペラ的に心地好く楽しめる内容ではありました。それぞれが迷いながらも収まるべく所へ収まってゆく話の流れは多少強引過ぎる定番パターンは安心して見ていられます。ただ大人の視点から見ると、なんて愚かで身勝手な親なんだと彼らの親に憤る所がいくつかありました。ヒロインの幼馴染は映画監督を夢見て高校生ながらに自主製作でそれなりの評価を得ています。ただ良い大学を出て大手企業に就職というコースを親に押し付けられるので、それに抗い親元を離れて奈良での修行を検討しています。(この彼の才能を見出して育てようとする奈良の映画監督って何処となく河瀬直美に似ています)もう終身雇用という既得権は崩壊してるって事実に気付かなかった頭の悪い駄目親にレールを轢かれた人生の末路は悲惨。私の場合、今の基準からするとネグレクトギリギリな位に放任主義の家庭だったから勝手に得意な創作活動を続けてクリエイターとして成り上がれたけど、そんな一芸特化ではなく多くの才能に恵まれた優秀な友人の中には年功序列の大企業でことごとくポテンシャルを潰され無能化させられた挙句にリストラされ一気にアンダークラスに落ちた人も少なくありません。それこそ分不相応な既得権に浴して思考停止したクソガキでなければAIに置き換え可能ではない職業を子供が選ぶのは喜んで応援します。あくまでもそれなりに才能があればの話だけど。YOUTUBERが子供の将来の夢ランキングで上位な訳だが数日で収益化レベルのフォロワーを集められない程度の才能であれば確かに諦めさせるべきではあります。
それ以上にクズ親なのがヒロインが惚れた王子様の家庭です。この親は再婚を繰り返していて、その度に引っ越すので子供は転校を強制される事で交友関係に半ば投げやりになっています。これは子供の教育には良くない。それどころか娘と恋人になりかけた相手の親と再婚する事で兄弟になる事を強制します。あくまでも事情を知らなかったとはいえ、いい年して子供の恋愛感情より大人のエゴを優先させるのは出来損ないのクズそのものです。あくまでも若年者が自由に幸福を追求できるよう自分のエゴは抑えて耐えるのが大人の振る舞いであって、いい年した中年が若者のように自分の恋愛感情を優先して若者に気を使わせてしまうのは恥ずべき行為です。そんなクズを親に持ってしまう事の悲劇。青春時代に叶わなかった夢や恋はさっさと諦めて若年者のバックアップに勤めるのがごく当たり前の人間の振る舞いです。そうやって鈴木清順の『すべては狂っている』に描かれる立派な戦中世代のような大人たちが守っていたからこそ戦後世代は青春を謳歌できたのであって、その親の世代がクソガキ化して、いつまでも自分勝手に恋愛を楽しもうとすれば、そのとばっちりを受けるのは子供の世代です。それこそ今の若者には姥捨てを勧めたい。こんなエゴが肥大化した忘八者の世代にロイヤリティを持つ必要はありません。それこそ人権を剥奪すべき連中です。なんたって憲法の人権条項にすら「公共の福祉に反しない限りにおいて」と質されているのだから。いつまでも自由恋愛を求めるクズ親は公共の福祉に反します。