映画『夜叉』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

夜叉

 

 

漁港雪景色

 

改めて木村大作の洗練された構図作りを思い知らされた。とある漁村を舞台としている訳だが狭い村の引き足を心配する程に望遠レンズでのミドルアングルを多用していてガチッと締まった絵になっている。いわゆる降旗×健さん組が極道から堅気の内容にシフトし始めた時期の作品。遺作『あなたへ』と同様に田中裕子をヒロインに迎え、三枚目にはビートたけし、いつも子分役だった田中邦衛は主人公に世話になっている堅気の漁師役となっている。なかなか今思うと豪華な顔合わせです。

 

かつて通り夜叉と呼ばれ恐れられたヤクザが女房の為に足を洗って漁師をしていたら、その漁村で居酒屋を始めた女のヒモ男が漁師たちに麻薬をさばき始める。そのヒモ男を立ち直らせる為に大量の麻薬を廃棄すると借金まみれになった彼はヤクザに追われる事になり、それを助けるために夜叉再びミナミへ降臨ってな感じの内容。主人公が不倫しちゃうって所が何とも人間臭い。それすらキレイに収まって見えるのは、やはり絵の魅力。代表作『八甲田山』等に比べても、この作品の絵は木村キャメラマンの最高レベルに思えます。