映画『希望と祈りの旅』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

ブッダ・マウンテン

~希望と祈りの旅

 

 

高橋しん"いいひと"神戸編を思い出す

 

四川大地震といえば韓国ではホジノが『きみに微笑む雨』なんてこの映画と同様に地震の一年後を舞台に被害者遺族の心の傷を見せるセンチメンタルな泣かせの作品を撮っていたが、これは当事国の作品だけあって単純な泣かせではない。やはり中国人って元気だなと感心してしまう。1年経っても地震で壊れかけた自宅を捨てられない住民。崩落の危険があるから行政は再開発を進めようとするが住民はそれに断固抵抗。強制執行に対し橋を壊し工事用車両を溝に落っことしたりして。ホジノ作品で韓国企業が復興支援に送ったユンボとかも、こーゆー風に使われて壊される事もあったのだろう。その一方日本じゃ『能登の花嫁』みたいに半壊じゃ保険が下りずに仕方なく壊れかけた住居に住み続けている老人もいるってのに皮肉なものです。この映画は3人の若い落ちこぼれの視点で描かれている訳だが、その描き方はさり気なくユーモラスで実にコメディセンスが良い。それだけに大きな悲劇を目の当たりにする若者たちの心境が等身大のものとして伝わって来ます。この3人はそれぞれに自分の家族や恋愛に苦悩してばかりで、あまり身近な事として地震の悲劇を捉えてはいない訳だが、それが逆にリアルに伝える上で効果的になっているのだ。そんな3人のスタンスも元気の良さの一部。泣かせも悪くないが、こーゆー見せ方も好感が持てます。