映画『自虐の詩』の感想 | アキラの映画感想日記

アキラの映画感想日記

映画を通した社会批判

自虐の詩

 

 

四コマ向き

 

阿部ちゃん結婚オメデトーな頃に、まるで申し合わせたかのような夫婦(内縁だけど)のドラマ。松竹が関わっているだけあって堤監督にしては妙に正当法な内容だけど。TV業界の片隅から流入したサブカル的な魅力と人情を重んじる情熱が鬩ぎ合ってるかのようなチグハグさが少し気になりました。ふと中谷美紀の不幸役繋がりで『嫌われ松子の一生』を連想してしまったのだけど、(見た劇場が同じパルコだったからかもしれない)CM畑育ちの中島監督に比べるとTV畑育ちの堤監督はドラマ的な堅苦しさに引きずられる傾向があります。比べてしまうと今作は妥協なく娯楽が詰め込まれてる感がイマイチ足りませんでした。マンガのネタを詰め込むよりも映画にするにあたってマンガだからと割り切らずキャラクターの人物像を骨太にする方向へばかり頑張り過ぎたって感じです。

 

あの長谷川町子にしても日本の有名な家庭的ギャグマンガや4コママンガには法則があります。それはキャラは年をとらず関係も変化させないって所です。(最近じゃこんな法則はあえて無視する有名マンガ家は沢山いるのだけど)それを逆手に取って変わらない日常を繰り返し見せる事で少しづつ関係の根底を臭わせるって形が日本の家庭的連続TVドラマにもよくあり、この作品の原作となったマンガのスタイルでもあると思います。それに比べると映画ってこの手の話を再構築するには酷く非効率なメディア。TVみたいに毎週刷り込まないと魅力が分かり辛いキャラを一気に見せなきゃならないのだから、どう転んでも4コママンガにあった微妙な味わいを保てない。普段は見せない男の妻への思いは、もっとさり気なく見せて欲しかった。