映画『TRICK4』の感想 | アキラの映画感想日記

アキラの映画感想日記

映画を通した社会批判

トリック劇場版 ラストステージ

 

 

シリアス路線

 

阿部×仲間の夫婦漫才的なやり取りの面白さで見せるこのシリーズだが今回は掛け合いというより小ネタで笑わせる部分の方が多かった。今回の舞台は中南米な訳だが、いつもの堤作品程には怪しげな外国語ネタはなかった。ちょこまかと笑わせには来ているが基本的にはシリーズ中最も正攻法な印象。地上げの為に中南米の小さな集落を訪ね、そこの人々に崇められるシャーマンの呪術を暴こうとするという内容。そもそもシャーマニズムって奴は歴史が古く群を統率し導くための叡智の結晶。高度に心理学的であり現代医学や薬学を凌駕していても不思議はない。

 

ただこのシリーズの視点は80年代に流行した科学至上主義とオカルト趣向の対立という所にある訳で、その視点に立ってみるとオカルトが科学を凌駕する面白さって事になる。そこに何重にも嘘が絡み合う訳だが前作あたりから、その嘘の層が薄くなりラブストーリー的要素が強くなった。今回は特に仲間と阿部ちゃんの絆って部分が強く後半は意外にもシリアス。以前から鬼塚ちひろの暗い主題歌はミスマッチだと思っていたが今回だけはピッタリとはまっていた。ダチョウ倶楽部等の小ネタを挟みつつも決していつものように主人公たちの感情を茶化す事なく話が進む。これまでのシリーズの印象からすると違和感バリバリ。今にも「うそぴょーん」とひっくり返される事を期待して最後まで裏切られ続けたって感じ。