映画『真田十勇士』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

真田十勇士

 

 

『真田幸村の謀略』と比べて

 

歴女ブームもあってイケメン武将にファンが多い昨今において無双シリーズ等のゲームコンテンツでも幾度となく扱われた雪村伝説にヒットメイカー堤幸彦が挑戦。『真田雪村の陰謀』では十勇士の紹介を絵でコラージュしていたが、ここではアニメーションで紹介している。そんな訳で単に同じ史実を元にしているだけではなく多少なりとも昭和の雪村映画の影響は見られるが、やはり昭和版と平成版ではターゲット層も反体制的な内容への姿勢も大きく違うようだ。この作品では雪村は単なる幸運で名を上げた傀儡で裏で佐助と才蔵が操っていたという設定。大胆な豊臣家存続説がエンドクレジットで展開されるのはいかにも堤監督らしい都市伝説風味のインチキっぽさの魅力。忍者が世をかき乱し豊臣を存続させる愉快犯的な動機のドラマが中心で徳川と対峙する雪村のドラマは流行らない人情とばかりにさらっと流す。CRやゲームでの無双シリーズの仕事で私も雪村のコンポジットに関った事もあっただけに自分の中には関ヶ原の頃の若く精悍なイメージばかりがあったので今回、昭和と平成それぞれの雪村映画を見て晩年の雪村に違和感を覚えた。まあ松方演じる昭和版に比べたら我々の世代が抱くイメージには近い訳だが、それにしても今作での雪村のイメージは枯れ過ぎている。ターゲット層は歴女ならぬ枯れ専なのかって位に。