映画『オオカミ狩り』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

オオカミ狩り

 

 

ド派手な殺人ショー

フィリピンから韓国へ向かう凶悪犯罪者の囚人を大量に乗せた船で脱獄が起きて船がジャックされる。なるほど『コンエアー』パターンのクライムアクションかと思いながら見ていると、いきなりメチャ強えーゾンビ野郎が乱入して来て刑事側も犯罪者側も片っ端からぶっ殺す。つまり前半アクション後半ホラーって『フロムダスクティルドゥーン』スタイルのヴァイオレンス活劇。一応はゾンビ野郎は旧大日本帝国の人体実験によって作られた人間兵器って設定な訳だが、やたらと安っぽくて回想シーンの日本軍が日本語下手過ぎて笑えます。いわゆる欧米のトンデモナチス系映画のノリで「大日本帝国ならこの位の悪事はやっているだろうという素晴らしい歴史検証に基づく」by映画秘宝って感じです。そんでもって更に強えー超人も投入され最初の主要人物はほぼ全員皆殺しって感じで何がやりたいのかイマイチ不明だがド派手な殺人ショーで最後まで飽きさせない。

 

ジャップみたいな芸術の価値が分からない土人後進国と違って韓国政府は文化事業に力を入れて多くの映画人をハリウッドで学ばせてるってのは有名な話だがキムホンソンのエンタメ映画って正にハリウッド映画と同じで見た後に何も残りません。その意味で全く注目に値しない監督のようです。むしろ同様に全く退屈させないエンタメ映画で最近売れてるヨンサンホ作品とかはエンタメの中に貧困問題や格差や道義心という重要な現代的テーマを問いかけて心を動かす力がある訳だがホンソン作品は2本見て全く退屈はしなかったけど全く心は動きませんでした。まあ『技術者たち』に比べると本作のアクションは最初っからグロ全開って感じだから気持ち悪さだけはあります。ただ傑作韓国映画特有の強烈さやエグさが全く感じられませんでした。ナホンジンやキムジウンの爪の垢を煎じて呑ませてやりたい感じ。ただただモンスターが無双して殺しまくるってだけじゃハリウッド映画やメジャーな日本マンガと同じで、いくらグロい描写しても全く心に残りません。ただ予想してたよりも早く胸クソキャラがハイテンポで片っ端から殺されていく展開はなかなかに壮観で、むしろ「こいつまで殺しちゃって話が続くのか?」って程の思い切りの良さに驚かされます。ヒロインポジション候補の女囚も女刑事も全く容赦なし。それにしてもゾンビ野郎が縛られて抵抗できない女性を真っ先に殺すシーンはちょいとばかり胸クソ悪い。メチャ強えーんだから強い奴から殺して欲しい所です。