映画『らくだい魔女』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

らくだい魔女

フウカと闇の魔女

 

 

I wish for you to have a heart

2013年のアニメミライで見た『リトルウィッチアカデミア』を思わせるようなファンタジーな世界をあのIGが制作って事で興味を惹かれて拝見。基本的に魔法学校を舞台にした学園モノがベースのようだが、ここに通う生徒たちは皆王族の御氏族様で血族的なエリート。タイトルにある通り主人公は落第寸前のドジっ子ではあるが残念な頭でも魔法のポテンシャル自体はメチャ高いという隠れ実力者系設定。今作では過去に親たちが退治した闇の魔女の呪いを誤って解いてしまった事から巻き起こるバトル展開。映画である事を意識してか作中に遊園地を出したりとアミューズメント感ある演出で物語が進みます。この手のギミックはもはや低年齢層狙いの劇場版アニメの定番パターンになりつつあります。とにかく闇の魔女の野望を阻止すべく学園の生徒たちが愛と友情で戦うってな内容で絆の大切さを教えるパターンの定番ってな感じの脚本になっています。それこそ主人公の中にある劣等感であったり友人に疎まれているのではないかという不安であったりを闇の魔女はデマゴーグを使って煽りに来ます。それに心を揺らされる主人公のドラマにはそれなりに引き込まれます。

 

そして彼女は悪役である闇の魔女に対しても同情の念を持ち助けようとすらする。この手の展開は陳腐ではあるが子供向けの道徳教育としては実に大切な所です。あまりに基本的道徳感すら失ってしまった大人たちが多い中で新しい世代位は真っ当な倫理道徳がある社会を築いて欲しいものです。とにかく子供向けだけあって語り口も分かり易くてキャラクター紹介にしても、いちいち主人公のナラタージュが入って丁寧に紹介してくれる。その意味でコンテンツ初見にも優しい映画です。たった1時間程度の尺で割とガッツリ友情を語ってくれました。まあ色々とお約束オマージュは多い訳だが自分的にはクライマックスで『ネバーエンディングストーリー第二章』を連想させられました。あの心まで凍った女王の前で最後の希望として「貴方の心に愛を」と願って悪役を消滅させるってシーンがあった訳だが、それに似たご都合主義を感じました。ちょっとこの尺では闇の魔女へのシンパシーが育つ伏線が足りな過ぎます。そんな安っぽさも含めて手軽に心地よく大人でも楽しめる児童映画でした。さすがに普段のIGはもっと硬派なイメージだが今作のようなジャンルでも上手く形にしたって感じです。

 

連想したシーン👇