神さまの言うとおり
ぎこちない動き
深作欣二の『バトルロワイヤル』以降この手の中高生皆殺し系を展開ってジャンル化してる気がします。それらの多くはVシネのような低予算でエログロだけを売りにした駄作が多い訳だが、さすがに最近の三池先輩は娯楽第一線だけあって安っぽさを感じさせません。それも三池先輩って作品を重ねる毎にグロ描写に磨きがかかってるし前にも保身の為にどんな悪徳も全く躊躇わない狡猾なサイコパス教師を描いた『悪の教典』って作品で中高生を殺しまくってただけに、この手のジャンルが病みつきになってしまったのか。まあ今回は完全なる不条理劇だからジャンルとしては全く違う訳だが。むしろ登場人物のキャラは『神様のパズル』を思わせる愛嬌があって簡単に次から次へと虐殺してしまうのは勿体ない気がしました。
ある日、突然現れた白い立方体の中に閉じ込められ達磨、招き猫、子消、木彫りの熊、マトリョーシカという民芸品の形をしたモンスターとゲームをさせられて負けた者は容赦なく虐殺される。この世界観の怖さって明らかにチェコのシュヴァンクマイエルの造詣センスを模倣しているように思えます。それこそ深層心理に入って来そうな恐怖感を狙った演出。劣化はしてるけど『ファウスト』で転がって来る石の人形が止まらずに画面から出て来そうな恐怖感を思い出しました。あえてスムーズではないアナログな動きを付ける事で不条理感やインパクトが強くなるのです。これって佐藤信介の『GANTZ』に出て来る宇宙人の印象付け方にも似てる気がします。おこりんぼう星人のあのぎこちない動きが妙に恐怖感を煽る感じ。そんでもって動くのが身近な置物の形をしてるって所が更に恐怖なのです。そんな訳で頭脳戦を楽しませる不条理ドラマである以前にホラーとして、なかなかインパクトあるヴィジュアルでした。