映画『大空港2013』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

大空港2013

 

 

竹内結子さん…無念

久しぶりに三谷幸喜コメディを拝見。大空港というタイトルだが内容は小空港。羽田の悪天候により羽田行きの便が地方の小さな空港で待機になる。その乗客の接待にあたるCAに巻き起こる珍騒動の数々をビリーワイルダー風味に見事にまとめた一幕のスチュエーションコメディ。これを北野組での活躍で知られる山本カメラマンが少人数の長回しで撮っています。ちゃんと伏線となる芝居を背後に写り込ませたりする工夫も成されていて、お手軽に見えて実に見事な仕事です。まあ乗客と云っても描かれるのはとある複雑な事情を抱えた大家族で夫の不倫であったり妻に云い寄る詐欺師であったり叔父の投資であったり娘の結婚であったり息子の夢であったり祖父のカミングアウトであったり色々な事情が入り乱れて主人公であるCAさんを振り回しまくります。つまりは主にこのCAさんのリアクション芸で笑わせるって感じです。そんな訳でとことん笑わせて貰った訳だが、このCAさんを演じていたのが竹内結子さんだとエンドロールで真っ先に名前が出た途端に暗い気持ちになりました。

 

これまで中田秀夫の『リング』から黒沢清の『クリーピー』まで20本以上の出演作を楽しませて貰ったが無念にもコロナ禍で自殺。詳しい経緯は知らないが彼女に関わらず映画のようなサブカルに関わる女性の多くはメディアと老害が巻き起こしたコロナ騒動で経済虐殺された。TV屋のような既得権ビジネスと違って映画のようなサブカル側には真っ当な知性ある庶民が多いが経済的には脆弱です。それが臆病老害に引き起こされたコロナ禍の自粛圧力によって片っ端から潰され差別主義者によって引き起こされたスタグフレーションに潰されインボイス制度に潰される。クールジャパンと称されるような日本が世界に誇れる最後に残された日本文化すらも根絶やしにされつつあります。これらは人災です。その犠牲となるのは女子供や若者や在日という経済弱者。竹内さんは経済弱者ではないが我々普通の庶民と同様に今の大衆の性根の卑しさに絶望してたのではないだろうか。これほどまでに腐っている日本社会じゃ希望なんか生まれない。それは真っ当な神経をしてる人間ほど感じてるはずです。とことんまでに真善美が失われていると。これは勝手な憶測に過ぎない訳だが、やはりコロナ禍で自殺に追い込まれた人間の名前を目にする度にその絶望を意識せざるを得ない。その度に私は真っ当な仲間と深酒をするのです。