映画『インデムニティ』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

インデムニティ 陰謀の国家

 

 

火炙り拷問

ショックドクトリンという政治手法があるが、ここに描かれる軍事薬品の効能はそれに近い。PTSDに苦しむ人間の弱さに漬け込み殺人兵器に変えてしまうというのだから。タカ派の政治家が大手軍産企業と結託してPTSD患者に暗殺を担わせるって時点で国防というより権力闘争の匂いしかしない。この政治家は米国や中国の経済侵略から南アを守ると語るが詭弁にしか聞こえません。むしろ米露中均衡した事でアフリカ全体が特定の既得権に染まらず自律的に発展している現状では無理に資本元を追い出す必要はない。むしろ上手くすれば天秤にかけられるって局面であるのは日本と同じだが、この手の安倍晋三のような似非タカ派犯罪者こそ無能さと穴埋めの売国で祖国を潰す。これはそんな売国奴の犯罪に巻き込まれた消防士の話。基本的にアンドリューデイヴィスがリメイクした『逃亡者』と同じで殺人の容疑をかけられた主人公が逃亡しながら真犯人を探して事件の謎を解いてゆくというタイプのサスペンスアクション。ハリソンフォードに対してトミーリージョーンズ的な立ち位置にいる老刑事や女性刑事が彼を追いながらも様々な面で彼に共感して心を通わせようとする人間ドラマは嫌いじゃない。ちょっと見当外れな同情だったりもする訳だが。なかなか裏切りのドラマとかも狡猾に仕込まれていて伏線の張り方に無駄がなくミステリーとしても納得させられました。

 

かなり序盤の方で告発者の相棒である女性ハッカーが皮膚を焼く拷問を受けるシーンがある。「普通は人間は体を焼かれると脳が驚いて心臓が止まりショック死をするから、それを防止する薬を射って簡単には死ねなくする」とわざわざ犯人が説明する。つまり残忍で薬品に詳しい組織である事が分かると同時に日々炎と戦う主人公の苦悩の伏線にもなります。アドレナリン出まくってる現場じゃ炎に焼かれてもショック死できず激痛に苦しむ同僚が殺してくれと泣きつく回想。確かにトラウマ級の経験です。ただPTSDってのは戦場レベルの悲惨な体験に限らず通常社会の上司のパワハラ程度のレベルでも発生する。そう考えるとPTSD患者をマインドコントロールするって発想はチンピラが恫喝で小心者を従わせる心理構造に近いのだろう。そう考えると異常な状況下の主人公にも少しは感情移入できます。この手の心理操作が巧みな奴も世の中には普通にいるので気を付けましょう。

 

「お前が消えて悦ぶ者にお前のオールを任せるな」by中島みゆき