『7月4日に生まれて』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2004-10-26の投稿

7月4日に生まれて

 

 

ペニス!

 

理想的家庭に生まれ、快活に成長し、愛国心を抱く若者。自ら陸軍に志願し、ベトナムで国のために戦おうとする。だが戦場には思いも寄らない悲劇が待っていた。誤爆による女子供の虐殺。誤射による味方の殺害。「汝殺すなかれだよ、ママ、汝女子供を殺すなかれ…」脊髄に致命傷を負い半身不随になって帰って来た男が嘆く。自分を待っていた恋人を抱く事すら出来ない。「ペニス!硬くおっ勃った真っ赤なペニス!」酔っ払って帰って来ては口汚く親を罵る。家を追い出されて絶望の淵にいたこの男が過去と向かい合い愛国心を取り戻してゆくドラマ。愛国心には共感しようがないが、現実に失望し叩きのめされた時のやり場のない気持ちが家族に向かっていって傷つけてしまう辺りが人間の悲哀を強烈に感じて泣かされました。

 

トムクルーズをキャスティングしたという点もクールな表情の裏に底知れない悲しみが見えて、とても効果的にこの人物を物語っています。ドンマックリーン他、多くのフォークソングも効いていますが、やはりスコアが優れています。この頃からジョンウィリアムスの音楽も記憶に残るだけでない良い曲になっています。脚本演出としても、複数のテーマを絡ませるオリバーストーンらしいやり方が上手く効果を成した最初にして最高の作品だと思う。