『ポリスストーリー8』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

アキラの映画感想日記

映画を通した社会批判

2019-06-30の投稿

ポリス・ストーリー/REBORN

 

 

流血する鋼鉄

 

ジャッキーが刑事役を演じているというだけで日本では勝手にこのタイトルにしているが『ポリスストーリー』シリーズとは何の関係もありません。ジャンルすら違います。アクションってよりもロボット系SFに分類される類です。まるでマーベルヒーローみたいな怪物たちを退治するってな内容で原題も英題も直訳すると"流血する鋼鉄"となります。かつて家族よりも仕事を選んだ刑事が因縁の事件と再び向き合う中で家族との絆を取り戻すってご都合主義なドラマが荒唐無稽な超人アクションの中で展開。相棒の韓国人と娘との関係はちょっと『ダイハード4.0』を思い出させます。ただあくまでも超人なのは悪役だけでジャッキー側は基本的に生身の普通の人間。敵の基地はまるで『X-メン』や『アベンジャーズ』が乗ってる航空要塞みたいで、ちょっと今回の敵はジャンル違い過ぎだろって感じです。それでも相変わらず世界を股にかけ暴れ回ってます。オーストラリアのシドニーのオペラハウスの屋根に登ったりして追っかけを展開するが、カット割りを見る限りでは、さすがに若い頃のような無茶なスタントはしていないようです。ってえか『プロジェクトA』の時計台じゃないんだから本当にあの高さから落ちたら命はないでしょう。

 

香港といえば最近、逃亡犯条例を巡って大規模なデモで中共を押し戻した訳だが、これに対して民主主義や自由の為の闘争なんて寝ぼけた戯言を本気でぬかすメディアがあまりに多い。そんな下らねえ観念の為に闘う奴はいない。そんなもんは平和ボケした腐れブルジョワの妄想です。デモってのは基本的により好条件で権力側と手を握る為の交渉。確かに香港は資本圏だが、共産圏に取り込まれないようにする理由は自由ではなく繁栄と幸福の為。それに比べたら自由や民主主義なんてクソの価値もない。特に東洋にとっては野蛮人だらけの西洋と違い社会のガバナンス自体がそんな契約の上でなくとも成り立つだけのコミュニティ文化が育っているのだから。「我々アジア人は自由であってはいけない」というジャッキーの名言も別に中華アイデンティティを主張した訳でもなければ共産党に媚びてる訳でもなく、そもそもの社会の成り立ちが分っていれば当たり前の真理でしかない。まあ香港の映画人は過剰な商業市場に嫌気がさして大陸に憧れる者も多い訳だが、ジャッキーに関して云えば相変わらず商業市場第一線でバリバリ活躍してる訳だし。そんな訳で、もし中共に取り込まれたとしても香港映画の娯楽至上主義は変わる事はないので香港映画ファンは安心しましょう。