『HELLO WORLD』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

アキラの映画感想日記

映画を通した社会批判

2020-06-02の投稿

HELLO WORLD

 

 

アナログな彼女

 

マッドハウス出身で細野組でも活躍してた監督の作品だが絵的なタッチは京アニ系を思わせる。ただ内容的にはもうひとつの『サマーウォーズ』って感じでバーチャル世界の京都が舞台になっています。これが近未来って設定だけに、まさか今のような状況になるなんて想像もつかず観光都市として発展してるって設定になっています。そこで未来に当たる現実世界から来た男が過去の自分に恋人を落雷から守るように促す。デジタル世界の物理法則を覆すツールを武器に運命に抗おうとする少年の奮闘が描かれます。

 

ポップな映像センスと飽きさせない展開。少々強引な展開で法則性が覆されたりする感じが絵のポップさとは裏腹にバーチャルな世界に対する疑心暗鬼な感覚が妙に昭和的な懐疑心を感じます。エドガーアランポーの名言「我々が見ている全ては夢のまた夢に過ぎないのだろうか」みたいな。そんな古い感覚はヒロイン像にも表れてます。スマホの使い方がイマイチ分からなくて連絡先を聞かれて無線LAN通信も赤外線通信もできずに結局紙に番号を書いて渡す。この冒頭のシーンが一番このヒロインを可愛く感じました。やはり映像センスや設定や物語としてのトリックに今風のものを感じさせながらもボーイミーツガールの物語として古風な部分を肝に据えてるからこそ魅力的なのでしょう。