『アゲイン』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2008-08-28の投稿

アゲイン/明日への誓い

 

 

真打ち登場

 

東洋の恥ジョンウーのへなちょこシリーズに天才ツイハークがトドメをさす。スタイルを引き継ぎスローモーション過多なアクションを展開するが前作までのような醜悪なナルシズムには終わっていない。飛び移った壁が倒れるシーンや車ごと戦車に引きずられるシーンなど予想外の動きでちゃんと手に汗握らせてくれる。この手の足下を疑わせるようなアイデアに満ちたサスペンスがあるアクションが上手く撮れるって意味でも香港のスピルバーグなる異名は彼にこそ相応しい。まあジャッキーやらデブゴンやらスプラスティック系の香港映画の多くはこの手のアイデアの宝庫な訳だが。銃撃戦を無駄に格好良く見せる事にこだわるよりも多少スプラスティックになっても登場人物のピンチを演出する方が泥臭くて私は好きです。

 

それでいて今作はまるでアンホイの初期作品みたいな悲哀に満ちている。米軍撤退後のベトナム。北側(共産党政権)の爆撃が続くサイゴン。大陸では文革真っただ中。断腸の思いで店を捨て香港や台湾に逃げる華僑。帰る場所を失った難民たち。その闇社会で闘う姐御。まだ若かった頃のアニタムイ。どこか哀しげで影がある彼女の笑顔の作り方は胸に残る。仁義と恋心の間で揺れながら責任を果たすべく奮闘。なのにユンファ演じる愛しい人は恋より友情に熱い。彼女を疑い裏切り者と罵ったりもする。さすが雇われ監督ジョンウーと違って仕掛人ツイハークはドラマを撮っても上手い。3作目にして真打ち登場って感じ。ちなみに4作目はゴッドギャンブラーシリーズで知られるバリーウォンがメガホンを握ってたりもする。