2005-07-01の投稿
テシス/次に私が殺される
殺人論文
スナッフといえば、この頃『8mm』って映画もあったけど
実はどこかで残酷な暴力に惹かれている人間の生臭さが
さり気なく主人公の中に見え隠れする分、こっちが好き。
ビデオ版の方は"殺人論文"という邦題が付いていたが
テーマ的にはこの邦題がなかなかシックリと来ている。
「映画はインダストリアルだ。客の求める物を与えよ」
という教授の台詞が、過激化する当時の映像メディアと
偏執的な劣情を隠す偽善的大衆を風刺していて面白い。
冒頭で電車に飛び込んだ人のバラバラ死体をわざわざ
覗こうとしながら、暴力的映像描写批判のレポートを
書こうとする優等生。彼女は大衆の意識を象徴している。
気取っていても実は変態だから首を突っ込もうとする。
内容を簡単に言えば映像の学校を舞台にしたサスペンス。
主人公と共に謎を解くオタク男にはシンパシーを感じた。
冷静な観察眼。偏執的嗜好を蔑まず夢中になれる人には
どうも共感してしまう。少なくとも私の経験上で言えば
現場で役に立つ奴の多くは、こうした偏執的嗜好がある。
ちなみに、インタビュア側を撮るシーンでの目線の指示は
明らかにイマジナリーラインが逆でした。口説く為の
口実である事バレバレ。こういう人とは仕事したくない。