2005-02-02の投稿
マックス、モン・アムール
一方的な投影
海外を舞台に撮った日本人監督の作品といえば
黒澤がロシアで撮った『デルス・ウザーラ』や
最近では北野がアメリカで撮った『brother』が
有名ですが、大島渚も忘れてはいけません。
東南アジアを舞台に撮った『戦場のメリークリスマス』に
続いて今回は舞台を現代のフランスに移しています。
妻の浮気の証拠を掴み、現場に踏み込む夫。
「乱暴をするつもりはない、服を着なさい話をしよう」
冷静を装い、妻のベッドの膨らみに話しかける。
ところが開けてビックリ。浮気相手はチンパンジー。
こうして、猿と人間の奇妙な三角関係が始まる。
アレルギーのメイドに暇を出し、猿と同棲する妻。
友人は妻の頭がおかしくなったのかと精神科医を紹介する。
動物との間に愛欲は有り得るのだろうか?夫の嫉妬心と
猜疑心が愚劣な興味へと変り、やがて猿を追い詰める。
犬と未亡人の例を出している事からも解るように
あくまでも人間の性愛に対する価値観基準が一方的に
自己主張のない動物に都合良く投影された結果です。
人間への皮肉に満ちたその論旨がちょっと痛い作品です。
