2021-07-25の投稿
レイルロード・タイガー
満鉄VS八路軍
『はいからさんが通る』の云い方を借りるなら満鉄VS馬賊を馬賊側から描いた中国映画。共産党の意図なのか都合良く八路軍がピンチを救ったりもします。この反日的構図ってのは基本的には台湾や香港に逃げた国民党側の詭弁から生まれた文化であり、ここに描かれた時代に上海派映画人等の共産党を含む反蒋介石勢力から盛んに叫ばれた抗日救国は国民党を売国奴として吊し上げる為のプロパガンダであり、また別の文脈です。ただ共産党側としては台湾や香港を併合する為には資本圏で幅を利かせる国民党側との確執をいつまでも引きずる訳にはいかないので国民党に振り上げた拳を日本に振り下ろすポーズをとる事で国内の和解を図っている訳です。つまり国民党への抵抗は政治的都合により大日本帝国への抵抗へと置き換えられている訳です。その和解にジャッキーをはじめとする香港第一線の映画人たちは究めて好意的です。マトモな神経してたら旧西側の腐敗した資本主義に対し面従腹背になるのは当たり前であり旧東側が提示する健全な資本主義や中華アイデンティティを優先するのは当然です。
ジャッキー演じる馬賊は日々の糧を得る為に満鉄を襲って強盗で稼ぐ地元のゴロツキ。それが成り行きから満鉄の鉄橋を破壊するという八路軍のミッションに加担し英雄的な活躍でジャップを翻弄する。ここに登場する日本人は半分以上が中国人キャストで撮っているようなのだが気になったのは若いキャストが字幕を付けなければ分からない程に日本語が下手であるという点。一昔前の香港や台湾の映画には日本語が上手い支那人キャストがいくらでもいた訳だが、ここ最近は誰も後進国日本の言語を学ぶ価値など感じていないって訳です。ディンシェンは今作の舞台である山東省出身で香港映画のレガシーを大陸で焼き直す事ように最近はジャッキーを使う事が多い訳だが、そんな彼の作品の中では割と対象年齢層を下げた冒険コメディって感じの内容。間抜けな日本側の扱いも可愛げがあって緩く笑える愛嬌のある作品でした。