2015-03-08の投稿
魔界美女物語
リンゴラム初期の怪作。幽霊と人間が恋に落ちる香港映画といえば『チャイニーズゴーストストーリー』が有名だが、この手の話はもっと昔からある訳で、いわゆる溝口の『雨月物語』もそうだけど、この手の作品の伝統なのか妖艶なお色気ショットは必ず簀子越し。こっくりさんで呼び出した幽霊は主人公の勤めるインチキ保険会社の顧客の幽霊だったって話。彼女の死因を自殺という事にして保険金を支払わずに済まそうとする会社に対し彼女の幽霊は事故死であった事を主張。板挟みになった主人公に届く解雇通知。美人で気さくな幽霊だからといってもこの仕打ちはキツイ。アングラ劇でこの映画は始まるのでアヴァンギャルド系なのかと思いきや、それが上手くクライマックスと繋がり盛り上げてくれる。それどころかこの冒頭のインパクトで作品全体の空気感が締まって独特の禍々しい迫力を生んでいます。リンゴラム作品特有の青黒い光はこの頃は特に生々しい印象があって力強い。内容的には軽いラブコメではあるが映像的な禍々しい力はかのりのもの。
