『神さまがくれた娘 』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2015-04-12の投稿

神さまがくれた娘 

 

 

 

知的障害者の親権を巡る法廷劇。司法の場が舞台だからってポリティカルサスペンスでもミステリーでもない。あまりにも当然の事のように不正に満ちているのだ。インドでは露骨に賄賂や受験のカンニングが日常茶飯事のように行われているなんて報道を聞くとなるほどと思ってしまう訳だが、この法廷では平気で嘘がまかり通っちゃうのだ。これが悪役だけならまだしも主人公側の弁護士が最も大きな嘘をついていたりして。主人公に知的障害はないなんて嘘は出廷したらすぐにバレるだろうに、こんなとんでもない嘘を口喧嘩のような勢いに任せて吐いてしまうのだから凄い。インドの裁判は子供の口喧嘩なのかって感じ。まあタミル系映画って事で無学な層にも分かり易くしているのだろうけど、あまりの稚拙さにバリーウォンの代表作『ゴッドギャンブラー』シリーズを連想してしまった。いわゆる心理戦や頭脳戦が王道であるはずの所でインチキし合って力技に持ち込むみたいな。トリックを考えられないのを派手さや泣かせで誤魔化すというC級映画の常套手段に持ち込んじゃっています。

 

ただ裁判に限らず障害者に対する認識がインド社会では一般的にどうなのかという知識なしで見ているので上層カーストである悪役が登場するまで寛容な扱いをされているように錯覚して弁護士たちのリアクション等の笑い所がイマイチ分らなかった。この悪役にしても知識層にしてはやり方が狡猾ではない。そんな訳で音楽のクオリティが微妙である事も相俟ってシラケる所が多い作品だったが、悪役の弁護士の息子の薬を買いに行く件はなかなか良かった。ただ子供にやさしく善良である事は養育権に関して酌量の余地としては弱い。ネグレクトも虐待の一種。厳しく導けない事が子供をダメにするのも含めて養育可能か不可能かって所だから。そんな現実はすっ飛ばしてお涙頂戴のおめでたい映画。