2020年12-01の投稿
バンデラス ウクライナの英雄
地雷原で嘆く
ハリウッドに例えるなら『将軍の娘』等みたいな憲兵調査を描いたウクライナの軍事サスペンス。この憲兵って奴は日本ではパヨクが大東亜戦争を語る際に悪役として冤罪スパイ狩りを描く事が多いので誤解が蔓延っているが要は軍における内務調査官の事です。それこそ国民に課せられるのが刑法や民法であるのに対して権力者に課せられるのが憲法であるのと同じで、つまりは力を持った人間を律するのが本来の仕事。今作では国軍に紛れ込んで世論工作をする分離派の犯罪を暴く為に偶然にも自らの故郷に派遣された憲兵が描かれます。いわゆるクリミア問題の根底にある状況は今作品のようなウクライナの地方集落における軍事摩擦を見ると、より理解を深める事ができます。ウクライナはソビエト時代以前からロシア人入植で混血が多い。そんな半ロシア人の住人達は今、親欧州派と親ロシア派に二分しています。その対立を煽るのが分離派って奴です。とにかく親欧州派はEU加盟を目指すのに対し親ロシア派はソビエト時代のようにロシアに戻りたがる。それに対しロシア側では見て見ないふりをするのが得策だった。だが賢明なる独裁者ウラジミールプーチンは保身の為にテロリストを挑発して自国民を殺害させた安倍晋三のようなクズではないので保身の為に同胞を見捨てるような振る舞いを止めて国際批判覚悟でクリミア併合に踏み切った。この英断は状況を理解していれば「敵ながらあっぱれ」と賞賛すべき行為だが旧西側では侵略と伝えられ頭の悪い層はロシア批判の論旨に使う訳だ。そんなめくら連中は日本の恥だから、とりあえずTVや新聞や日本語のサイトを見る事を禁止した方が良い。
とある地方集落での民間人大量虐殺事件。分離派が親ロシア派の国軍に成りすまして行ったテロ行為。事件の真相を暴くべく現場へ向かった憲兵は実行犯がかつての親友であった事を知る。そいつは故郷を守る民兵組織に加わった事で分離派に利用されただけだった。だが気が付いた時にはもう遅い。バズーカ砲で彼が吹き飛ばしたバスに乗っていたのは同郷の隣人や親類たちだった。その虐殺に計らずとも彼は手を貸してしまったのだ。そんな虐殺シーンで映画は始まる。この話の主人公である憲兵は事件の黒幕を暴きながら度々寝返りを唆される。そもそもアイデンティティを出身地なのか民族なのか信念なのか何処に求めるべきかが曖昧なのが現在のウクライナ人なのだ。そんな複雑な心境を背負った憲兵による謎解きと犯人退治が進行する一方で親類を殺めてしまったかつての親友の苦悩が語られる。これらのドラマに連想させられたのは旧ユーゴにおける内戦真っ只中に当事国で撮られた『ボスニア』という悲惨な重喜劇だった。それと同時にクストリッツァやダノヴィッチ等、旧ユーゴの内戦を経験した当事国の作家の視座を思わせます。ソビエト崩壊が残した分断の火種に未だに苦しめられ続けてる人々という意味でも共通してるので描かれる状況が似てしまうのは当たり前かもしれない訳だが。この狂気じみた隣人との殺し合い。それは何度も云うようだが分不相応な金儲けの為に済崩しに国境を壊し続けている日本人にとっても今や他人事じゃない。この分断は一般人に親しい相手を殺させる。その残酷さが胸に突き刺さりました。