舞台『豊穣の海』プレビュー公演です〜
この春に初めて読んだ三島由紀夫がたまたま『豊饒の海』第一部『春の雪』だった。
『春の雪』だけなら舞台化や映画化されていますが、他の部は珍しい。
このチャンスを逃してはならない。
そんなわけでいそいそと新宿へ。
お祝いの花がたくさん出ている。
当日券を売ってはいたけど、ほぼ満席に見える。
若い女性が多い。
プレビュー公演というのは、本公演前のテスト公演ですが、形は本公演と変わらない。
でもいくらか安い。
そんなわけで開演
ここからはネタバレします。
始まった途端、お腹の具合が悪くなり、休憩まで1時間15分我慢するか、途中で抜けるか、闘いが始まる。
冒頭から舞台には輪廻・転生を象徴する滝が流れ、四話の主人公四人がいきなり全員登場。
どうするのかと思ったら、その後は第一部から第四部が、入れ替わり立ち替わり交わるように演じられるという斬新な脚本。
難しい話は削られ、細かいところは簡略化され、長い物語がよく纏められている。
登場人物も絞り込まれていて、これは分かりやすい。
松枝清顕を演じる東出昌大
背高い。
勲にしては現代風で華奢。
ジン・ジャンを演じる田中美甫
原作通り出番は短めだけど、ダンスで目立つ。
この舞台での透は、悪人というより迷える若者。
そしてキーマンである本田繁邦を演じるのは三人。
若い時は大鶴佐助
若い。
誠実で使命に燃える本田から、恥ずかしくなるようなシーンまで。
なんだか鋭い。
と思ったらバレエダンサーだったのか。どおりで。
如何にも役者だ。
見る人であり認識者である老境の本田が語り手のように進行していく。
ヒロイン綾倉聡子を演じるのは初音映莉子
聡子のイメージを損ねるようなことは無かった。
快演だ。
この芝居を楽しくしている。
少し若過ぎるけど、それが慶子か。
にしても、みんなチョイチョイ噛んでる。
そんなわけでラストシーン。
原作でも、え?………というラストですが、ほぼそのまま。
これ、原作読んでないと、サッパリ分からないだろうな。
読んでても分からないけど。
でもその意外性と疑いが、実際の本田の体験だという演出か。
心々……如何様にも考えられる。それも心々。
非常に観やすい舞台でした。
そちらは行かないけど。
次は『金閣寺』だ