前々回にアップしました『新年の雑感(第1弾)』の続き。1月が終わるのも10日を切ってからで恐縮ですが、今回は年末年始のエンタメ系の話題を。
大晦日に『NHK紅白歌合戦』を観たのです。
出演者がどうの司会がどうの、それに関連する演出方法であるとか、ひいては視聴率がどうした、なんて話をとうとうと書くつもりはありませんのでご心配(?)なく。
『PERFECT DAYS』の挿入歌
『PERFECT DAYS』こちらの映画評に書きました通り、主演の役所広司さんがカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した作品。
ここ↑では「音楽というか挿入歌の使い方がもう……ね」という程度で済ませて、細かくは触れていませんが、大晦日の紅白歌合戦で石川さゆりさんが〝津軽海峡冬景色〟を熱唱しているのを見て、ちょっと感じたことがあったので、この機会に少しだけ。
『紅白』の役回り
ウチの両親が逝ってからは、許される限りカミさんの実家にお邪魔して、新年を迎える、という行動パターンを取ろうと思ってます。今のところ最長で3泊、かな?。申し訳程度ではありますが、少しでも長期にわたるダメ婿の罪滅ぼしになれば……と。
で、やはり定番的に『紅白歌合戦』を観ながら大晦日を過ごすことになるじゃないですか。一時は『ゆく年くる年』が始まる前にチラッと観るくらいで、ほとんどと言っていいほど観てなかった番組ですが、最近はそれなりに観てるんですよ。
というのが、この10年くらいミュージックシーンを満足に追えていないから。というか、アルバムが何枚売れた、なんて価値感がなくなってますからねえ。還暦過ぎのオヤジは、誰の、何て楽曲が売れているのか、さっぱり把握できていない。
そりゃまあネット界隈で話題になっているアーティスト達は知ってますけど、残念ながらジックリ聴く、という環境がなければ機会もありません。
それらを解消するのに、現在の『紅白』は案外、役に立つのです(しかも昨年は某事務所も不在でしたし)。
知らないアーティストのライブ(としておきましょう)が聴けて、韓国系アーティストとか、YOASOBIだとかは、なかなかに圧巻なパフォーマンスだったようにも思いますし。
もちろん好き嫌いは別問題で、一般的な知見としての興味で、ですよ。
むしろ常連さんが難しい
前置きが長くなりましたけど、その『紅白』に常連である石川さゆりさんが今年も登場しました。『PERFECT DAYS』の中で歌った『朝日楼』はさわりだけだったので、映画公開直後の『紅白』の舞台でフルコーラス熱唱してくれないか、と期待したのですが、持ち歌であり代表曲である『津軽海峡冬景色』でした。
まあ、やっぱりね、という感じですけど、私は残念でしたですねえ。
「ブギウギ」の主人公を演じている趣里さんの、実のお母様も出演されて、キャンディーズ時代の楽曲を歌ったみたいですが、ちゃんと観てなかった。私はこういう「懐かしのメロディー」的な内容は正直、あまり好きじゃないのです。といって、じゃあ石川さんと違って、伊藤蘭さんが何を歌えばいいのか、には答えようがないですけど……。
あ、「東京ブギウギ」とか?……すんまへん。
『朝日楼』の白眉
『朝日のあたる家』の詞を、浅川マキさんが訳したものが『朝日楼』になります。アニマルズのアレンジで大ヒットした『朝日のあたる家』の、女性版と言っていいでしょう。
もっとも、起源のわからないアメリカの伝統的な楽曲とあって、もともとの歌詞の主人公が、女性なのか男性なのかは、わかっていないようですが。
石川さゆりさんが映画の中で歌った『朝日楼』は、いまさらながら悪くないです。ただ、なんと言いますか「天城越え」っぽい女性の情念ばかりが(当たり前かもしれませんが)強く感じられ、それが過ぎる嫌いがなくもない。
やはり伝説の歌姫である、ちあきなおみバージョンには及ばないかなあ、という感じ。まあ〝ちあきバージョン〟は、ジェーン・バエズとかシネイド・オコナー版よりもいいですからねえ。
あくまで個人の感想です。
そして、「あくまで個人の感想」を言わせてもらえるなら、マイベストはこちら(↓浜田真理子)のバージョンです。ライブ音源のようですが、何度聞いても切ない。自らのピアノの弾き語りが大きいのかもしれませんが、とにかく、
「ちあきなおみ版に対抗するにはこれしかない」
と覚悟を決めたような歌唱で、『朝日楼』の世界観の、もうひとつの描き方を呈示しているかのようです。
すみません。以前からどこで紹介させてもらおうか、と思っていた浜田真理子版『朝日楼』ですが、『PERFECT DAYS』の石川さゆり版にかこつけて、になってしまいました。
らしくなく、個人的な感想での楽曲の激推し。お赦しください。
音楽はそうした側面があるから、どうしても客観的な論評は難しいですよねえ……。
(と長々書いてしまった言い訳も……大変失礼しました)