正直、スマンカッタ! -2ページ目

正直、スマンカッタ!

フリーランスライターSATOの仕事&プラペの記録。

その店に訪れたのは、ある流行の素材が狙いだった。GWに会津若松に帰省した際、嫁さんがほしいと言っていたモノなのだが、なんだかんだで店に行くのを忘れて、そのままになってしまっていたのだ。

福島市は歴史のある街だけに、会津若松と似ている店も少なくない。たまたま看板を見かけて門の中に入ってみたところ、店主が奥から出してきてくれて丁寧にその素材を使った料理の仕方を教えてくれた。後日、レシピ通りに嫁さんが作ってくれたが、確かにうまみが増していい味わいに仕上がった。

前回の記事の最後の一言、「どちらから、いらしたんですか?」は、確かレシピを聞いていた流れで発せられたと思う。店主によれば、飯坂温泉にはめっきり人が少なくなったという。帰京する日が平日だったということももあるが、確かにその日はほとんど人影がなかった。

「震災の影響ですか?」と試しに聞いてみると
「そうですね。昔は平日でも20組、30組くらいは街を歩いている風景がありましたが、今はほとんどゼロです」
と店主は寂しそうに道路を見つめていた。

温泉街の宿命で、震災前から寂れていたところもあるのだろう。俺もそう思っていた。しかし、それだけで片付けてしまえるほど、風評被害の影響は小さくない。放射線を巡る人の心の問題が、この昔ながらの街に牙をむいて襲いかかっている。

夏休み後半のこの時期、通常ならば飯坂温泉は首都圏の大学の合宿で賑わっているという。坂の多い飯坂は走り込みをするには絶好の場所だ。盆地ならではの強烈な夏の暑さがあるとはいえ、山沿いの地だけに涼しげな空気も感じられる。一日中体を動かした疲れは温泉が癒してくれるし、東京からのアクセスもいい。肉体を鍛え上げることに専念したいアスリートにとって、好条件がそろっている場所なのである。

にもかかわらず、2012年の夏はたった1校しか合宿をしなかった。
「学校が協力しようとしても、部員の親御さんが心配されるようで…」
店主がぽつりと漏らす。

そんな状態だから、親子連れで歩いている家族など、まったくと言っていいほど見かけなかったそうだ。ここで、ふと、疑問が沸いてくる。昨日のホテル聚楽の盛況は、いったい何だったのだろうか。たあそこではくさんの子供たちが歓声を上げながらゲームや食事、熱い風呂を楽しんでいる様子が脳裏を駆け巡る。

「聚楽は家族連れがたくさんいたんですよね」
と話すと、店主は意外そうな顔をした。

結局、これは聚楽と飯坂温泉の間に乖離があるということなんだろう。
滞在中にホテルの中で楽しみつくすイベントが満載で、飯坂温泉の街で遊ぼうという気が起こらない。ホテルとしては間違いではない。せっかくの客を外に出すいわれはないだろう。ホテルの中でお金を落としてもらった方がいいに決まっている。

いや、単にイベントを楽しむただけの話なのか?
聚楽の外に出ないのも放射線の影響ではないか? 
昨日、否定した考えが再び甦る。コンクリートの放射線遮蔽効果は抜群だ。普段、遊べない分、室内で騒がせようという地元民が来ていても不思議ではない。

もちろん、そういう人もいるだろう。しかし、結局は聚楽で完結してしまっているのが大きいのだ。以前、親戚一同(子供4人付)で箱根のホテルに泊まったことがある。そこも全てがホテル内で完結していた。ゲーム大会で遊ぶのも、着ぐるみと記念写真を撮るのも、お土産を購入するのも、全てホテルの中。あの時は車だったから、そのまま箱根(強羅あたりだった)の街に下りずに、小田原方面に行ってしまった。聚楽もおそらくは電車ではなく自家用車でアクセスする人が多いのだろう。現に帰りの電車で自分たち以外の家族連れの姿は見かけなかった。

有名ホテルと、地元温泉街の連携。
非常に難しいのだが、うまいこと出来ないものだろうか。そういえば、いわき市ではハワイアンズは儲かっている一方、一人勝ちしているだけで他になかなかプラス効果が波及しないと聞く。それと似たような構図が、聚楽と飯坂温泉にもあるのかもしれない。

話が逸れた。
店主とはそこから放射線問題の話になった。
「飯坂から出ていく人も少なくないんです。近所の保育園は園児が120名いたのが、70名になりました」

ここからは2012年(去年)の話、ということを特に念頭に置いておいてほしい。
今では状況が変わっている。逃げた人も戻ってきているとも聞く。
当時は震災から1年足らずの時期だったのだ。(だからこそ旅に出た直後に書くべきだったのだが・・・)
続きは次回。
宿泊したホテル聚楽は飯坂温泉駅から徒歩6~7分。
川沿いの坂道の中腹に大きな敷地が広がっていた。

いつも温泉宿に行くときには、
早めにチェックインして湯をたっぷり楽しむことにしている。
今回も15時くらいには到着していた(と思う)。

$正直、スマンカッタ!-聚楽よーん

が、写真は夜の風景しかなかった(汗
宿の目の前にコンビニがあったのだが、買い物のついでに撮ったものである。

なので、じゃらんnetより





そういえば門から入口が急な坂で、外に出る気をなくすレベルだった。
その分、宿の中でエンタテインメントが完結しているのかもしれない。

その1でも書いたけれど、こんな感じの餅つき大会(21時くらいから開催だった気がする)や、

$正直、スマンカッタ!-館内の様子

ゲーム大会(ミニゲームをクリアしたら賞品がもらえる)やフラフープコンテストなどなど、
子どもも飽きることなく、ホテルに缶詰めになって過ごせる工夫がなされていた。

事故後の面倒なアレで、室内で遊ばざるを得なかったから・・・というわけではない。
宿の外に出ずとも遊べますよ、どんどん中で飲み食いしてお金落としてくださいな。
そういう目論見が働いている結果だろう。

あとライブキッチン花ももはかなりよかった。
※下記二つの写真もじゃらんnet









シェフが目の前で調理した料理を提供する今どきの食べ放題だが、
やはり単に山盛りで料理を並べただけではないので、鮮度も味の奥行きも違う。
ライブキッチンを謳う宿やレストランが増えているけれども、
60品目以上が並ぶその様は圧巻で、かなりレベルは高いと思う。

ちなみに福島ならではの食材も。
例えば、これ。

$正直、スマンカッタ!-バイキング桃

桃が丸ごと1個置いてあった。
食べたい人は席にナイフで剥いて食う、
という大ざっぱなサービスだったので、「誰が食うんだ」と思いきや、
多くの家族が桃を剥いて楽しんでいた。
いや、桃の魅力は恐ろしい。

と聚楽の宣伝になったが(ほめたので、なんかください)、
翌朝は飯坂温泉界隈をちょっと散策をしてみた。
激熱の公共浴場にも興味があったけれど、さすがに子連れでは難しい。

が旧堀切亭http://www.iizaka.com/join/join02/という
地元の名士の旧家を再現した場所に足湯があったので、浸かってのんびりしてきた。

$正直、スマンカッタ!-足湯

入場無料。
散策の休憩にはピッタリだ。

それにしても、飯坂温泉の街には、確かに人が少ない。
旧堀切亭の人影もまばら。
二日目は平日(つまり月曜日)だったので人が少ないのは仕方ない。
しかし、昨日の聚楽が混雑していたし、
夏休みなんだから、多少は人がいてもいいだろう。
そういえば駅前の物産展もそこそこの賑わいだった(二日目は開催していなかったが)
静かでリラックスできるのはいいのだが、寂しい限りではある。

まぁ会津若松の東山温泉も、街のにぎわいは似たようなもんだから
震災前から寂れているのだろう。
その1でもそんなようなことを書いた。

けれども、ふと頭によぎる。
面倒なアレの影響で、こんな風になってしまっているのではないかと。

旧堀切亭を出た後、ふとある土産物店に足を踏み入れてみた。
昔ながらの木造の家で、もう何十年、いや百年レベルで
飯坂温泉のこの地で商売を営んでいる風情である。
あれこれと品物を見繕っていると、店主から声をかけられる。
「どちらから、いらしたんですか?」

「東京です」と応えると、
「珍しいですね」
この飯坂の街に、観光客が歩いているのが珍しいのか?
いや、どうやら違うらしい。

土産物に興味のない上の子は、店内の椅子に座って大好きな鉄道の本をめくっていた。
下の子はベビーカーですやすや眠っている。飯坂の坂道の振動が心地よかったようだ。
店主は2人の様子を感慨深げに見つめている。

家族4人で街を歩いていること自体が珍しい、ということのようだ。
無論、【震災後】だから、そのように感じたのだろう。

ここで30~40分、店主と話し込むことになる。

福島市民の生き方はそれぞれだが、
その一端に触れたので紹介してみたい。

ようやく本題である。
続きは次回。
さて、飯坂線である。
福島市には北部の飯坂温泉に伸びる福島交通飯坂線と、
仙台の手前の槻木までを結ぶ阿武隈急行の2本の私鉄が走っている。

$正直、スマンカッタ!-飯坂線


異なる二つの私鉄が同じホームから発着するという
なんとも不思議な形態の私鉄。
改札を背にして右が飯坂線、左が阿武隈急行だったっけな。
全く行き着く方向が異なるので、
乗る電車を間違えたら目も当てられない悲劇が待ち受けている。

飯坂線に乗るのは初めてだったかなぁ
福大に行くのに乗った記憶があるのだが、
アクセスを調べるとJRが最寄駅らしい。
遠い日の記憶なので曖昧。

記憶をよみがえらせようとウンウン唸っていると、
いつの間にやら電車は出発。
鉄オタの我が子は当然、一番前に陣取る。

$正直、スマンカッタ!-車窓


運転士のハンドル(っていうの?)さばきが間近に見られるパノラマビュー
当然、子供は大興奮。
単線がどこまでもまっすぐに伸びる風景がなんとも牧歌的で、
旅に来たなぁ、という実感を得た。

ふと車両の中吊りを見るとこんな文字が。

$正直、スマンカッタ!-自転車


サイクルトレイン。
つまり車両に字電車の持ち込みが可。
通学用なんだろうが、自由だなw
都内でやったらどうなるだるなぁ。
面白い試みだろうが、自転車オタクのやかましい声が聞こえてきそうなので、想像やめる。


で、飯坂温泉に着く。
$正直、スマンカッタ!-駅看板

福島駅から30分も乗ってなかったと思う。
結構、近いです。

$正直、スマンカッタ!-駅前


ちょうど駅前で夏の観光客向けにイベントを開催していた。
お菓子や名産品を売ったり、ゲームをしたり。
子供たちの姿も結構多くて、
かき氷を食べながらワイワイ騒いでいた。
電車の模型(飯坂線?)も出てたので、そこに群がっている子供が多かったかな。
栄えているなぁ、と思ったけど、
後で色々話を聞いたらそうでもなかったみたいだが。

駅前から温泉全景
$正直、スマンカッタ!-温泉全景


摺上川と赤川に沿って旅館が並んでいる。
昔ながらのひなびた温泉街。
超激熱の湯は、リアル熱湯風呂として多くの観光客に恐れられている。
地域に9つある共同浴場では、その強烈な熱さを思う存分堪能できる。
どっかのブログに47度とかあったけど、頭おかしいと思う
中でも鯖湯湖(さばこのゆ)は、キングオブ熱湯風呂らしい。
子連れなので入らなかったけれど、

昔、入ろうとして3秒も浸かれなかった記憶があるなぁ・・・
って、来たことあるじゃん。
あれ、友達に連れてこられたんだっけな?
取材でも来たような、こなかったような…
老化でボケてます。

そういえば、駅構内にはレンタサイクルがあった。
福島交通が畝いする「ももりんレンタサイクル」
窓口で手続きをすればタダで貸してくれるという。
子供用シート付もあった。

$正直、スマンカッタ!


飯坂温泉の近くには果樹園がたくさんあるのだが、
ちょっと駅から離れているので、こういうツールがあると散策の楽しみを広げてくれる。
隣りの駅にある片岡鶴太郎美術館などにも足を伸ばしやすくなるだろう。
熱いおでん食う芸が見られるなら俺達も行ったんだけど。

とはいえ、飯坂は山のふもとにある。
坂道だらけの道は少々キツイという運動不足な向きには
電動自転車のレンタサイクルがオススメ。こっちは有料だけど。
もちろん、子供用シートにも対応。

$正直、スマンカッタ!-レンタサイクル


福島交通のももりんレンタサイクルHP
http://www.fukushima-koutu.co.jp/upd/detail.php?update_id=265&t=&f=2

を見ると、震災後に始めた取り組みのようだ。
頑張って、色々工夫しようとしているのね。

てなわけで、続きは次回。
しばらく続く気がする。
まだ本題に辿り着いていないので。

ちなみに、これが名物ラジウム卵。
普通の温泉卵と言ってしまうと、地元の人に凹られます。