Vol.252-1/3に続けてご覧ください。
<四国八十八か所讃岐巡りシリーズ>
21:《白峯寺》
第八十一番 綾松山(りょうしょうざん)白峰寺(しろみねじ)洞林院(どうりんいん)
本尊:千手観世音菩薩 開基:弘法大師 宗派:真言宗御室派
真言:おん、ばざら、たらまきりく
御詠歌:霜さむく露白妙の寺のうちみ名を称ふる法の声々
所在地:〒762-0016 香川県坂出市青海町2635
<歴史・由来>
青峯、黄峯、赤峯、白峯、黒峯の5色山のうち、白峯にある静かな古刹。弘法大師と大師の妹の子と言われる智証大師が創建された。
弘仁6年、白峯山の山頂に、如意宝珠を埋め井戸を掘り、衆生済度を祈願に堂宇を建立した。
後に智証大師は、山頂できらめく光を見つけて登頂。
山の神である白峯大権現の神託を受け、霊木で千手観音像を彫造し、これを本尊にしたと伝えられる。
白峯という、
まろやかな響きを持つこの寺には、有名な物語が二つある。
「啼けばきく きけば都の恋しきに この里過ぎよ山ほととぎす」これは保元の乱で破れ讃岐へ流された崇徳上皇の句である。
都へ帰りたいという思いが叶わぬまま寂しくこの地で亡くなられ三年後、上皇と親しかった西行法師が詣でた話は上田秋成作「雨月物語」の伝説で有名である。その後も都では異変が相次いだため、後小松帝は上皇の霊を祀る法華堂に「頓証寺殿」の勅額を奉納。また、悲話を伝える玉章木(たまずさのき)も佇んでいる。
また白峯山には心優しい相模坊という天狗が住んでいると伝えられている。ある夕方、小僧さんが木綿豆腐を買いに出かけたところ、突然、何者かに背中を押され、空を飛ぶような感覚になった。そして次の瞬間、田舎では見ることない上等の絹豆腐を受け取り元の場所に立っていた。これは、夕方買い物に走る小僧さんを気の毒に思い相模坊天狗が助けてあげたと語り継がれている。
<略縁起>
弘仁6年(815)弘法大師が白峰山に登り山頂に如意宝珠を埋め、閼伽(あか)井を掘り衆生済度を誓願されたのがはじまりである。
その後、貞観2年(860)智証(ちしょう)大師が白峰大権現の神託を受け、海上に浮かぶ霊木で千手観世音菩薩を刻み本尊として安置した。
その後、荒廃を繰り返し、慶長4年(1599)高松藩主・生駒公が本堂を再建、文化8年(1811)松平公により大師堂が再建された。
<境内>
七棟門をくぐり参道を行くと崇徳(すとく)上皇の御霊所・頓証寺(とんしょうじ)殿があり、そこから杉木立の中の石段を上がると本堂があり、右手に大師堂がある。
後小松天皇(在位1382~1412)から贈られた「頓証寺」の扁額などの国宝が多数保存されている。
又、崇徳上皇の陵墓、白峰御陵が近くにあり、参道にある2基の十三重石塔は崇徳上皇の供養塔といわれ国の重要文化財になっている。
白峰寺への入り口の道路からは坂出市内や瀬戸大橋が一望できる景勝地でもある。
引き続き、Vol.252-3/3をご覧ください。