なぜ未来人が大挙してこないのか? | 不動明眞

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AKIMASA FUDO AKIRA

(絶対に過去に行けない!?)

 

キップ・ソーンの考えたワームホールの理論は、

タイムマシンの可能性を示唆するものですが

その理論に真っ向から反対する科学者がいました。

イギリスの物理学者スティーブン・ホーキングです

 

彼は、キップ・ソーンが主張する「ワームホールと

それを満たす負のエネルギーを物質

(キップ・ソーンは「エキゾチックな物質」

と呼んでいる)

があれば、タイムマシンは可能」という考えに

反対しました。

 

過去へ戻ろうとしてもそれを阻止する何らかの

物理法則が働いて、過去に行くことはできないと

ホーキングは主張しています。

また、その「阻止する何らかの物理法則」は

量子論であるとしています

ホーキングはその考えに、

「時間順序保護仮説」と名付けています。

 

(ふたりの物理学者の賭けは)

 

ホーキングが「時間順序保護仮説」の根拠と

しているのは「今の我々の世界に、未来人が

大挙して押し寄せてこないではないか」

ということなんです。

 

なんともシンプルな説に、

「時間順序保護仮説」という大げさな名称を

つけたのはひょっとして、

ホーキングのジョークなのでしょうか?

 

そんなホーキングの主張に対し、

タイムマシンで過去に戻れるのはタイムマシンが

登場した以降から。

今の世界ではタイムマシンがまだ登場していないので

未来人が大挙して押し寄せてくることもない

と反論しています。

 

お互い主張がぶつかり合うソーンとホーキング

ですが、そんな仲が悪かったわけではないようです。

ふたりは主張が、対立すると、どちらが正しいか

賭けをしていたそうです。

たとえば、恒星が重力崩壊をしたとき

ブラックホールにならずに、

「裸の時空特異点」が形成される可能性

があるかどうかの賭けでは、敗者は、

「裸を覆う衣服を贈り、その衣服には負けを認める

文章を書く事」とされていると言います。

 

ふたりの科学者の発想もタイムマシンに匹敵

するほどユニークではあります。