『私は若い頃、クラシックギターリストとして幸せな生活を送っておりました。
週に一度のテレビ出演、毎週のように大ホールでのコンサート、信じられないような大金を手にしておりました。
しかし、見たこともない大金を手にするようになると、次第に派手な生活を送るようになりました。
仕舞いには博打と女に明け暮れる日々を送るようになってしまいました。
田舎の百姓育ちだった私が遊びを覚えたら最後、多額の借金を抱えてまで遊び呆ける屑人間になってしまったのです。最後は親や兄弟にまで保証人になってもらい、借金を繰り返しておりました。
仕事にも身が入らなくなると徐々に仕事も減ってしまい、僅か数年後には全てを失いました。
まるでドラマのように、私の人生はまっ逆さまに転落して行ったのです。
もう親が生きているのか死んでしまったのかさえ分かりません。借金を踏み倒して逃げて来た時に、親兄弟からは縁を切られました。おそらく、代々親族が守って来た田畑を売って、借金を返してくれたのだと思います。
現在の私の塒は、大きな公園の中の森の中です。
毎日のように家族連れが訪れて、楽しそうに遊んでおります。
もう私は、後戻り出来ません?
たとえギターを手にしたとしても、
あの頃のように弾くことはもう出来ません。。。』
『おじちゃん、そんなこと言わないでさぁ?
そんなに最初っから諦めないで、またギターの練習してみたらいいのに?
毎日少しずつ練習してれば、また上手くなれるかも知れないじゃない?諦めないでやって見ればいいじゃない?
私も今度はスイミングに通うんだよ!
おじちゃんも、ちょっとずつでも頑張って毎日練習してみなよ?
きっと、また弾けるようになるよ!』
『もう無理だねぇ?
親も生きてるか死んでるかわがらねーし、兄弟からは縁切られでるし、俺なんて死んでも誰も悲しまねーよ!
まわりに散々迷惑ばかりかけてきたがら。。。
俺が死んだら無縁仏だなぁ?
お嬢ちゃんは将来は何になりたいのかい?ケーキ屋さんかな?
お花屋さんかな?
お嬢ちゃんは可愛いから、きっと大人になったらべっぴんさんになるよ!
それこそ年頃になったら、男泣かせの魔性の女にでもなるんじゃないかな?
ボーイフレンド五人も六人も連れてさぁ?ディスコでブイブイいわせてお尻ふって踊りまくってさぁ?帰りはアッシー君のお出迎えだわな?
ホントに女はべっぴんさんに生まれてくると、得だよなぁ?
それこそ岩槻の人形も、顔が命って言うもんなぁ?』