私は2型糖尿病患者である。
2型糖尿病は、筋肉やその他内臓等の組織が糖分を取り入れられなくなることに始まる。血糖が取り込まれないので、血糖値が高いのに身体中がエネルギー不足の状態になり、組織が血糖を取り込んでくれないので血糖値が下がらず、高血糖の状態が続く。高血糖の状態が続くので膵臓は血糖を下げるホルモンであるインスリンをどんどん出してゆき、いずれは膵臓も疲弊してインスリンが出にくくなってしまう。原因は食生活の乱れや運動不足によって血糖が常に高いことにあると言われている。血糖が常に高くインスリンが常に出ている状態で組織がインスリンに慣れてしまいインスリンの効きが悪くなる。インスリンの効きが悪くなると血糖がさらに下がらなくなる。血糖がさらに下がらなくなると余計な血糖が脂肪として蓄えられてしまう。その脂肪がインスリンの効きをさらに悪くする。まさに悪循環である。常に血糖値が高くなり、脂肪を溜め込むと糖尿病の危険性が増す。血糖値が高いままで脂肪が貯まりやすい生活、食べ過ぎと運動不足である。2型糖尿病が生活習慣病と言われる所以である。勘違いして欲しくないのは、同じ食習慣、生活習慣でも糖尿病になる人とならない人に分かれる、という事。つまり100%生活習慣病というわけではなく遺伝的な要因も絡んできている。糖尿病患者=だらしない人的な言われ方をすることがあるが、それは偏見であることを声を大にして言いたい。ちなみに1型糖尿病はなんらかの原因(自己免疫疾患と言われている。アレルギーのようなものらしい)で膵臓のインスリンを出す機能が消滅してしまった状態のことで、生活習慣は全く関係ない。1型糖尿病と2型糖尿病は違う病気と考えるべきかもしれない。
私は昔から大食漢で、ご飯は1回に3合、卵なら1ダースは平気で食べてしまうタイプであった。好きな言葉は”食べ放題””炭水化物”などで、ピザを頼む時はラージピザを2枚以上、ロールケーキ1個というのはいわゆる1本、コーラはファミリーサイズ1本を一回で飲んでしまうタイプ。現役時代はそれでよかった。文字通り毎日”吐くまで”練習しており、現役時代の体脂肪率は常に一桁。胸板は厚くとも(ベンチプレス100キロ普通に持ち上げていた)ウエストは細く腹筋は割れていたのだ。日々ウエイトトレーニングを行い、腹筋ローラーも使っていたくらいなので、当たり前と言えば当たり前だが。
現役を引退してからも、同じような食生活を続けていた、というか続いてしまっていたのだ。生物としての人間は、一度大量のエネルギーを必要とする時代を経験するとそれを身体として記憶してしまうようだ。現役を辞めても食が細ることはなかった。いや、多少は細っていたのだが、ご飯3合食べるのがご飯2合になったくらいな感じである。
そもそも私は身体を動かすこと自体は嫌いではない。むしろ好きである。現役を辞めてからもお弟子さんと一緒にアイスダンスをやるのを仕事としてだけでなく、楽しみにしていた(今も楽しみである)し、私生活でもウエイトトレーニングやジョギングは継続していた。ジョギングに至っては新横浜から東京駅まで片道25キロをのんびり走っていたものである。もっとも、東京駅に着くとランステでシャワーを浴び、丸ビルや新丸ビルで中華や寿司などたんまり食べるのが楽しみであったが…。そんなことをしているうちに体重は80キロを超え、90キロを超え、ついには0.1tの大台に乗った。「新入幕の頃の千代の富士より重いぜ」なんて笑っていたが、身体の中は笑い事ではなかったようである。以上な眠気、疲労感に苛まれるようになってきた。コロナによる自粛生活が始まった頃から食べる量には気をつけ始めた。すると体重が減少。しかし減少の幅が半端ではない。ひと月の間に10キロくらい落ちた。まぁ、100キロから90キロになった程度であるが。しかし急激な体重の減少は私に糖尿病の疑いをおこさせるには十分であった。そしてトイレが異様に近くなった。1時間のお教室を担当していてもトイレが心配になってきた。夜寝ていると足が攣るようになってきた。そして出来物ができるようになり、それが治りにくくなってきた。しかし私はコロナ禍を言い訳に病院には行かなかった。本音は糖尿病判定が出て食事制限をするのが怖かったのである。