イメージ 1

イメージ 2

60年代から70年代のニコンはとにかく高かった。
今も安くは無いが、ブランド力と言うかステイタスとしての地位は桁違い。
当時、豊かなアメリカ人ですら「カメラのキャディラック」と言っていた。
その高いニコン中、唯一安かったのは「ニコマートFTN」である。
残念ながら、「NIKON」ネームでなく「NIKOMAT」であった。
でも、安いとは言え他メーカーなら中級機以上の性能や堅牢性を持っていた。

ニコンのレンズマウントを使えるのだ。
第一線級のプロカメラマンと同等のレンズで写真が撮れる。
ニコマート購入の決断をしたのは正解であった。
キャノンFTb、アサヒペンタックスSP、ミノルタSRTスーパー、
オリンパスM1と魅力ある花形機種からの選択であった。

お坊ちゃん育ちの友人がニコマートを持っていた影響である。
彼は、坂東玉三郎の同級生。勿論、あの暁星高校の出身だった。
庶民的な学校で、ニコマートを持っている者などいる訳が無い。
何も知らない私にとても親切だった。
高価な自分のカメラを何の惜しげも無く触らせ、シャッターを切らせてくれる。
交換レンズの楽しさや写真の撮り方。実際に撮らせてくれもした。

初めて見る一眼レフのファインダーは新鮮そのもので驚きの連続だった。
見るものそのものがレンズを通して見えるのだ。
そーとシャッターを押し込むと、ブレル間も無くパシーンと切れる。
一瞬見えなくなるが、素早く復元する。いかにも撮ったと言う感じが伝わる。
写真は全くの苦手で、バカチョン以外のカメラで撮れるとは思いもしなかった。

決して高級感は無く、簡素なつくりのカメラである。
しかし、ニコマートを使うことで、写真の基本が学べたことの意義は大きかった。
愛すべきカメラ第1号機、それは「ニコマートFTN」であった。

※ニコマートFTNは、ニュータイプの方が人気がある。
これは後に購入の旧タイプ。巻き上げにプラカバーがない。
セルフタイタイマーも金属性、多少見栄えで劣る。