生命保険の仕事をしていると、将来のライフプラン、人生に対する考え方など、おおげさにいえば、お客様の思想観にまで触れることがたびたびあります。
場合によっては、この生命保険の仕事をしていなけば、まったく知らないままであったと思われる宗教観のルールに触れることもあります。
例えば、イスラム教では、生命保険を契約することをコーランで禁止しています。
なぜか。
人は神が創ったモノで、死後は単にモノ(it)であり、その死によって、生命保険金という新たな価値を発生させることは、神への冒涜にも繋がることだからでしょう。
これは、厳格です。
以前、あるお客様が国際結婚し、相手がイスラム教徒の方でした。
そしてイスラム教に改宗。
このお客様は死亡保障と医療保障に加入していましたが、死亡保障は解約しました。
宗教上の理由です。
その後、私なりにコーラン(和訳)をみて、生命保険が禁じられていることを確認できました。
※コーランは原語であるアラビア語で読まないと、読んだことになりません。つまり和訳されたコーランを読んでもコーランを読んだことにはなりません。なのでイスラム教的には私はコーランを読んだことにはなりません。
イスラム教やキリスト教に代表される、唯一絶対の神の教えを信仰する、「一神教」の世界では、モノや価値を創るのは、「神」だけであり、その論理でいくと、イスラム教が生命保険を禁じることは、矛盾のない自然な論理ということになります。
私自身もこれを知ったとき、「なるほど!」と納得しましたから。
一方で同じ一神教であるキリスト教では生命保険は禁じられていません。
それがなぜかは私は分かりません。
しかし個人的には、キリスト教が生命保険制度を容認してくれていてよかったと思っています。
もし禁じられてしまったら、「私の商売はあがったり」になってしまいますから。
私は、無信教者です。
特定の宗教には信仰していません。
しかし宗教には寛容でありたいと常々思っています。
これからも多くのお客様と接するなかで、宗教に触れることがあるかもしれません。
そんなときは、私自身、偏りなくニュートラルな気持ちで接し、お客様の宗教観を尊重したいと思っています。
それが例え「解約」であっても。
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