昔、大学生のときに東銀座にある居酒屋にバイトにいった初日のことをふと思い出しました。
そこにいたベテランの女性スタッフが、バイト初日で慣れていない私に、
「ホワイト取って!」
というのです。
「ホワイト???」
「何?」
あまりにも当たり前のように誰でも知っていて当然な一般常識のように聞くので、聞き返すのも忍びない雰囲気だったのですが、思い切って聞き返しました。
「ホワイトってなんですか?」って。
すると、
「それよ、それ!」
と、「そんなことも分からないの!使えないバイト。」というムード満点で、「白いオシボリ」を指してくれました。
この店では、お客様に出すオシボリは黄色のものを使い、店内でテーブルなどを拭くオシボリは白いものを使う、というように用途によってオシボリの色をお分けていたんですね。
この女性はテーブルを拭きたいらしく、白いオシボリを私に取って欲しかったので、
「ホワイト取って!」
と言ったわけです。
「分かるわけないだろ!」
これが私の感想でした。
分かんないですよね。「ホワイト」で。
結局、この店にはその後10年以上、関係を保っていくことになるのですけどね。
でも私たちも気を付けていないとこのようなMyルールがいかにも一般的なスタンダードルールとして誰にでも受け入れられていると思いがちです。
例えば、
「保険を活用して資金を捻出したい」
「保険料の支払いが厳しいので何か良い方法はないか」
とお客様から相談されたときに、
「契約中の終身保険部分のCVからケイガシを受けられますよ。」
「APLを利用すれば当面の保険料を立て替えてくれますよ。」
と説明したらどうでしょう?
分からないですよね。
分からなくていいんです。こんな説明をする営業マンが悪いのですから。
正しくは、
「終身保険部分で貯まっている解約返戻金○○円の一定範囲で必要な資金を借り入れることができます。この制度を契約者貸付制度、業界では略してケイガシとか言ったりします。」
「保険料自動振替貸付制度という制度を利用すれば貯まっている解約返戻金から当面の保険料を立て替えることができ、実質的な保険料負担は当面なしということになります。この制度のことをAPLと言ったりしますよ。」
となるわけです。
経験が長くなれば長くなるほど、Myルールや業界ルールが当たり前になり、一般のお客様にもそれが当たり前のことのように話してしまいがちです。
「ホワイト」の教訓を忘れずに気をつけなくてはいけませんね。
ちなみに「ホワイト」の件でこの女性スタッフの正しい説明の仕方は、
「その白いオシボリ取って!あぁそれからこの店では白いオシボリのことをただ単にホワイトって言ってるので覚えてね。」
となるでしょうか。
私は、こういう隠語みたいなのが嫌いなので、この女性が去り、私がバイト責任者になったときには、「ホワイト」という呼び方は一切止めました。
まぁ今となってはいい思い出です。
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