先日図書館に寄ったとき、ふっと目についた本(写真集)がありました。
大西暢夫さんの「ここで土になる」という写真集です。

取り上げられているは、熊本県五木村頭地地区田口という村に住む老夫婦です。
この村は50年程前にダムの建設が決定して、住民は代替地への移転を強いられていました。
ここには樹齢500年を超える大きなイチョウの木(写真)があり、その横にある先祖のお墓共々、村の人々の心の支えとなってきました。
しかしすでに役場や学校も移転して、現在ここに残っているのは写真のご夫婦と、このイチョウの木だけになっています。
その昔、このイチョウの木の横に穴を掘って修行し、最後を迎えた僧侶(安心和尚)がいたそうですが、
このご夫婦も、その穏やかな表情から、生まれ育ったこの村のこのイチョウの木のそばを終の棲家にすると、
心に決めておられるかのようでした。
ところでこのダム工事はある日突然中止となり、村は水没しないことになったそうです。
しかしながら今や廃墟となった村は、元に戻ることは出来ません。