好意的なレビューを頂きまして、感謝! | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

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私は、イタリア児童文学が大好きで、皆既日食も大好きで、足摺岬も大好きな、団塊の世代に属する元大学教員で、性別はMTFです。季節の話題、お買い物の話題、イタリア語の勉強のしかた、新しく見つけたイタリアの楽しい本の話題などを、気楽に書いていこうと思っています。

自分の書いた本にAmazonでどんなレビューがつくかは、いつも気にしているところですが、著者の真意を眼光紙背に徹するぐらいに読み取ったレビューがつくと、嬉しいものです。

 

2024年に入ってから、わたしがずいぶん前に書いた統計学の本と経済数学の本に、同一人物からとても好意的なレビューをいただき、たいへんありがたく思いました。

統計学の考え方を具体的に説く名著 (amazon.co.jp)

 

学部上級レベルに通用する経済数学を一巡する理論書 (amazon.co.jp)

 

わたしはもともと学部時代は法学部にいた者で、数学については5年ぐらいブランクがあり、大学院で経済学を学び始めるにあたって、それに必要な最低限の数学は知っておかねばならないため、とっかかりに苦労しました。

 

また、統計学は一般の数学以上に苦手で、ましてや、それを応用した計量経済学なんてものは、およそお呼びでないのですが(「t値」だの「F値」だの、いまだによくわからない)、最初に赴任した大学で、便宜置籍的に「統計学」という科目の担当者の地位につき、さらに学部改組のとき、新設される講座にわたしのやりたい「数理経済学」がなく、似た名前だが内容はきわめて異なる「計量経済学」というのがあったため、どうせ素人や文部省の役人には区別がつくまいと思って、これまた便宜置籍でその講座をもらっておいたのです。

 

そういう中で、経済数学については、自分自身が苦労して身につけた範囲を、自分の悪戦苦闘体験を肥やしにして、初学者にわかりやすく噛み砕いて説くというのが、だんだんわたしの「得意分野」となり、それを雑誌連載に取り上げていただき、さらに単行本にもしてもらったのが『初歩からの経済数学』でした。

 

また、統計学も、授業を担当する以上、最低限のことは知っておかねばならないので、これも試行錯誤的に、「データ整理のための記述統計学と、それを踏まえて確率論を取り入れて考察を進める推測統計学は、いかなる発想が基本にあって、今あるような体系になったのか」という根本のところを、つくづく考えさせられました。

 

あるとき、わたしを統計学の専門家だと誤認したらしい新書の編集者から、統計学の易しい本を書いてほしいと言われ、じゃあ、統計学の非専門家である自分が悪戦苦闘して少しずつ身に着けてきた範囲を、思考過程を再現するかたちで書いてまとめてみようと思い、執筆した原稿が『ミニマムエッセンス統計学』になりました。

 

その原稿は、その新書編集者にとってはまったく期待はずれだったようです。なぜならその編集者は、わたしに対して「統計学の結論とその使い方を見開き2ページごとにいろんなトピックスが目に飛び込むようにわかる」といったタイプのハウツーものを書いてくれと期待していたらしいからです。そういう本は専門の統計学者であってこそ書けるもの。わたしの本は、ハウツーものじゃないから、個々の見開き2ページをみて、電車の吊り革につかまりながらでも読めるようなしろものじゃありません。全体を読んでみてはじめて「うーん」と深く得心がいくというタイプの本です。

 

で、結局、その新書編集者に対しては「ご趣旨に沿えず、申し訳ありませんでした」と言って引き下がることにし、その原稿を日本評論社に持ち込んで、じっくり考えさせる入門テキストとして出してもらうことにしたのです。

 

同様にして、わたしが2009年に出した『ワルラシアンのミクロ経済学』と2011年に出した『[続]ワルラシアンのミクロ経済学』という本も、レオン・ワルラスの創始した「一般均衡論」という「経済全体を連立方程式で表現する手法」について、それを専門にしてきた人間ではないがゆえに、「あのモデルはいったい何が言いたいのか」という根本がなかなか理解できなかった自分の体験を踏まえて書いた本です。一般均衡論への理解を、試行錯誤しながらコツコツと積み上げた自分の軌跡を本にしたもので、手っ取り早く一般均衡論の使い方を知りたいというような人のためのハウツーものではありません。

ワルラシアンのミクロ経済学―一般均衡モデル入門 | 三土 修平 |本 | 通販 | Amazon

 

[続]ワルラシアンのミクロ経済学 一般均衡モデルの発展的理解 | 三土 修平 |本 | 通販 | Amazon

 

それゆえ、最初から最後まで読んでみて初めて「ああ、そういうことだったのか」と深く納得していただけるような本、言い換えれば、たいがいの人は中途で投げ出したくなり、最初から最後まで読んでくれる根気のある人はまれにしかあらわれない本です。

 

というわけで、前半の『ワルラシアンのミクロ経済学』にはいくつかレビューがついたものの、いまだに後半(つまり完結編)である『[続]ワルラシアンのミクロ経済学』にはひとつもレビューがつきません。

 

この2著の核心部分を少しかみくだいて、啓蒙版に書き直したのが『ミクロ経済学の核心』ですが、これもまだレビューがつきません。

ミクロ経済学の核心: 一般均衡モデルへの道案内 | 三土 修平 |本 | 通販 | Amazon

 

ミクロ経済学の核心 三土 修平(著/文) - 日本経済評論社 | 版元ドットコム (hanmoto.com)

 

だれか、じっくりとわたしの思考過程につきあって下さって「おう、そうだ、そうだ。このようにすれば一般均衡論の言いたいことが手に取るようにわかる」とおっしゃってくださるような、根気のある読者の出現を待ちます。