ホオジロザメがどうのこうのとかいう愚にもつかないゴシップに心を奪われる暇があるなら、その時間を使って「祈り」という曲でもじっくり聴いたほうが、ずっと心の糧になると、わたしは思います。
初めて聴いたとき、ああ、孝子さん自身の1996~2003年ごろの試練に満ちた人生体験が反映されている曲なんだなと思いましたけれど、そこをゴチャゴチャ詮索するのは、わたしの趣味ではありません。大切なのは、そこから生まれてきた作品がどこまで個別体験の特殊性を超えて、幅広い人の心の琴線に触れる普遍性をもつものに高められているかということ。その意味での完成度が高い作品だと思います。人生には、惑星でスイングバイする宇宙船(惑星探査機)のように、相手と合体するためではなく、自分が生まれ変わるために、接近遭遇する必要があっての出会い(と別れ)というのがあると思います。